言語発達問題が起こりやすいケース


バイリンガル環境で子供の教育をしていく上で言語発達に関連して気を付けておくべきこと、知っておくべきことを挙げておきたいと思います。平均的な言語発達に比べて発達に大きな遅れがあると思いましたら、学区の発達スクリーニングに参加するなどして、学区の専門家や日本人の専門家に意見を聞いてみることから始めてみて下さい。発達スクリーニングは言語面だけではなく、他の感情・行動面や運動面などの成長なども合わせて見られるので、専門家一人とほんの数十分ほどの面接だけで結論を出されるより、より豊富な情報が得られます。何事も早期発見早期介入が問題解決の最善策ということを憶えておきましょう。
【言語使用の問題】

言語療法士の意見によると、幼児(preschool)期の言語変更は言語発達遅滞や問題をもたらしやすいので、初めに学び始めた言語をきちんと教え続ける方がよいとのこと。国際結婚などで、初めから家庭で二言語同時の生活をしている場合は、一言語だけで生活しているのと似たような言語発達になるので大きな問題は出にくいようなのですが、例えば、生まれてからずっと家で日本語だったのに、英語環境のデイケアに行き始めて、後の学校のことも考えて家庭での言語もデイケア開始に合わせて日本語から英語に変更したり、途中から日本語の発達をいい加減にする…というケースが私達が考えている以上に言語発達において悪影響を及ぼすので、気を付けなければなりません。国際結婚などで第一子の時には頑張ってバイリンガル教育をと思って日本語と英語を教えてきたのに、第二子の時には疲れてしまったのでやっぱり英語だけにする…という場合は、第一子の言語発達問題、および、感情面の問題も出てくると思うので、要注意。

【聴力・聴覚の問題】

私が検査を担当してきたケースの中で言語発達の遅れと大きく関係している場合が多かったのが聴力・聴覚の問題。幼児期に頻繁な中耳炎を経験したり回復に長期間かかった場合などは、きちんと言葉の音を聞き取れていないのが原因で言語の発達をスムーズに進ませてくれません。きちんと音が聞き取れていない場合は、発音の発達にも影響が出てくるため、他人とのコミュニケーションも難しくなり、相手のネガティブな反応(何を言っているのかわからないため、頻繁に聞き返されたり、無視されたりするなど)を見続けるとコミュニケーションに対する意欲はもちろん、自分自身に対する自信も失われていくので、言語発達をさらに難しくしていきます。それから、幼児期の言語発達段階の問題だけでなく、後のリーディング学習、特に、文字と音との関係を理解するのが非常に困難になるため、なんらかの介入がないと読み書きの発達から学習発達へと大きな学習遅滞の原因にもなりかねません。聴力(音量)だけの問題でしたら、きちんとした音量で聴けるように補聴器を利用することで解決しますが、聴覚の問題でしたら、言語療法士のセラピーで口の形と音がどう関係しているのか等、早くから集中的に訓練してもらう必要があるでしょう。聴覚というのは音は聞こえていても音を“どのように”聞いているかの問題ですので、発達スクリーニング時に行われるナースのヒアリングスクリーニングでは発見されず、言語療法士の検査で指摘される場合がほとんどではないでしょうか。

【聴覚処理の問題】

発音はきちんと聞いていても、脳の機能不全のため、雑音と話し言葉の聞き分けができないとか、言葉を聞いてもすばやく記憶できない(頭に入ってこない)ため意味や思考となかなか結びつかないなど、聴覚の処理(“プロセス”)の問題もあります。聴覚と同じく、学区内のナースや病院などの聴力検査の結果とは関係なく、言語療法士、サイコロジストの検査で指摘される場合がほとんどです。次の症状が頻繁に見られる場合はプロセスの問題がある可能性が大きいので要注意。

  • 言葉による指示に従わない(言うことを聞かない)
  • 言葉を繰り返す(言葉や文など意味を解釈せずにただオウム返しに言う)
  • 聞き返す(聞いたことを繰り返して言って、聞いたことが正しかったか確認する)
  • 相手に言ったことを繰り返させる(話を聞いていて「えっ、何?」と言う)
  • 周りがかなり静かでないと理解できなかったり聞き間違いをする
  • 注意力が散漫であったり多動的である
  • 声の抑揚やジェスチャーは使えるのに発音がはっきりしていない
  • 名前や場所を憶えられない
  • 並んだ言葉や数字の列を言われたら繰り返せない
  • 言語発達の遅れが見られる
  • 【社会性の問題】

    聴覚処理の問題とも関連している場合が多いのですが、社交活動(他人とのやりとり)に興味がない子供は、語彙力や文法力には問題がない場合でも、抽象概念の発達に問題が出てきます。例えば、ものの名前(例:りんご)はよく知っていても、カテゴリーの名前(例:フルーツ)がなかなか憶えられない、ものごとを描写する表現(動詞や形容詞)がなかなか憶えられない、同じ意味でも少し言い方を変えると意味が理解できなくなるなどから始まり、そのうち、言葉の意味を言葉通りにしか受け取らないので冗談や皮肉などがわからない、他人と付き合っていく上で必要である言い方や内容の限度がわからないというように人間関係の問題へとつながっていきます。自閉症やアスペルガー症候群なども含む広汎性発達障害のスペクトラム(自閉症スペクトラム)の中心の問題でもあり、特に社会性の問題が聴覚処理の問題と併発している場合は、言語発達の大きな妨げになるでしょう。幼児期に社会性の欠如の症状(目線を合わせない、ジェスチャーを使わない、真似をしない、4歳ぐらいになっても他の子供達と一緒に遊べないなど)が見られたら要注意。

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