ESLプログラムの落とし穴


日本の学校では英語をせっかく習っても会話ができるようにならないとその昔はよく批判が出ていたものですが、現地校のESLプログラムでも同じような問題はあります。アルファベットやフォニックスを教えている間に、学校生活に本当に必要な単語や表現を教えることをおろそかにしてしまい、学校に通い始めて数週間以上経っても、もともと英語のバックグラウンドのない子供が誰ともコミュニケーションができず、例えば、お腹が痛くても悶々と教室で時間が経つのを待っている場合もあります。学校でバイリンガルのテューターが付いていても、子供が初めに覚えた言葉がテューターの英語の口癖“Oh, my goodness!”で、学校中が常時落ち着きのないその子に長い間手を焼いていたというケースなんかもありました。特に日本でも学校に通ったことがなかったり、学校に通い始めて間もなかったりするぐらいの子供達は、新しい学校に慣れるだけではなく、学校とはどんなところなのか、学校という社会環境やシステム自体から体得していかなければならない状態にあるので、学校生活を安心して送るのに必要な最低限の単語は早目に習得する必要があります。例えば、英語ができない高校生は、お腹が痛くなったら保健室を探してみようと問題解決のために過去の経験をもとに勘で行動するという手段を持っていますが、英語のできない幼稚園児は勘で行動することさえもできないため、せめて痛みを訴える手段がどうしても必要になってくるというわけです。しかし、学校によってはその点を見落としている場合もあるので、家庭で準備をしておくことに越したことはありません。

ここでは、学習面とは別に、学校に通い始める前に覚えておくとよいと思われる簡単な単語、特に心理的、身体的なサポートが必要である時に役に立ちそうなものをいくつかあげておきます。

  • “Hi.”“Bye.”:周りの子供達に言われた時にこちらからも返さないと反応がないと思われ、その後のコミュニケーションを保ちにくくなってしまいます。「あなたの言葉を聞きましたよ。」という印ということでいつでも返せるようにしましょう。

  • “Thank you.”:何かをしてもらった時には必ず言えるようにしましょう。これも、“Hi.”“Bye.”と同じように友達づくりやサポートをしてもらうのに欠かせない言葉です。

  • “yes”“no”“good”“bad”:最低限必要な自分の意志を伝えたり、先生の意志(自分のことをサポートしているのか注意しているのか)が最低限わかるので、全くわからないことからくるイライラが減ります。意味がわからないのに長々と個人的に何か言われ続けてしまうような場合には、両手の平を上に向けて首を振るジェスチャーを知っておくとよいかもしれません。

  • “help”:読んで字の如く、例えば、大怪我をして動けなくなってしまったとか、何か怖い思いをした時に絶対に知っておかなければならない一言です。

  • “home”:家に帰りたい時、宿題を忘れてしまった時に使えます。

  • “washroom/bathroom/pee”:授業中にトイレに行きたくなった場合。(3つ目は「おしっこ」の意味です。)

  • “pain”“sick”:お腹や頭が痛くなったり、けがをしたりした時は“pain”と言いながら痛い場所を指したり、風邪でフラフラしたり、食べ過ぎたりした時は“sick”と誰かに言えれば保健室に連れていってもらえます。かゆいのを伝える“itchy”も簡単に覚えられます。

  • “happy”“sad”“angry”“lonely”“fun”:感情を表わす言葉を知っているかどうかだけでも、子供に対する理解が向上し、コミュニケーションやサポートがスムーズになるので、学校内でのびっくり行動が減ります。

  • “hungry”“tired”“sleepy”:なぜ子供に元気がないのかを気にする先生はとても多く、英語がわからないとはわかっていてもつい子供に聞いてしまう先生が結構います。心理的なことなのか、身体的なことなのか、理由が先生にわかれば、それに見合ったサポートをしてくれます。

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05/02
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