誤解されやすいESLの子供達


突然、周りの人達の言葉がわからなくなり、自分の言葉も相手に通じないという環境に置かれ続けたら、自分がどんな行動に出てしまうか、考えたことがあるでしょうか?英語を学び始めた子供が学校で想像もしなかった行動に出てしまい、先生だけではなく親もびっくりさせてしまうことが少なからずあります。私が実際に見た日本人の子供達の例では、学校で声が出なくなる、いきなり奇声をあげる、突然席を立って教室を去り、ひどい時には校舎の外に出てしまう、他の子供を叩いたり蹴ったりする、教室のものを壊す、じっと席についていられない、物忘れが極端にひどい、視線が常に宙に浮いている、…などというケースがありました。子供に対する見方のセクションで触れているのですが、アメリカでは『子供らしさ』の許容範囲が日本に比べて狭く、子供が小さければ小さいほど大人が行動を制限しようとするので、例にあげたような行動は極端に目立ってしまい、先生が子供になんらかの慢性的な障害(行動・情緒障害、知能遅滞、学習障害等)があるのではないかとサイコロジストに話を持ちかけてくることがあきれるほど多いのです。実際、先生が話を持ちかけるまでの間、一貫して同じような‘問題’行動が見られるわけで、行動だけを見ると区別がつきにくいのではありますが、現地校に通い始めてから、親もびっくりするほどの子供の行動の変化が見られるようになった場合は、どれだけの期間このような状態が続くのか個人差はあれ、ほとんど環境の変化から生ずる一時的なものなのです。先生と同様、サイコロジストやソーシャルワーカーがESLの子供達に関する知識と経験がないと、子供が英語の学校環境に慣れるための十分な時間も与えず、即、ケーススタディ(いろんなテストやインタビューを通して慢性的な障害があるかどうかを判断すること)をすることになり、場合によっては、結果が当然悪くなるはずであるにもかかわらず、子供の理解できない英語で全てテストが行なわれ、最悪の場合は、精神科医にかかり投薬というシナリオにもなりかねません。親も自分の知らなかった子供の一面を見てどうしたらよいのかわからず、学校の見解を鵜呑みにしてしまう場合があるのですが、異文化・異言語環境から来る子供達の受け入れ経験に乏しい学校側の誤解を防ぎ、社会的な誤解から子供を守ってやれるのは親であることを忘れてはいけません。

現地校で問題が出てきた時に、子供の本来の姿を学校側に理解してもらうには、日本にいた頃の子供の学校や家庭での様子に関する情報が大変役に立ちます。子供のかいた絵や作文、その子らしいエピソードなど、子供が現在の学校で思うように表現できない分、学校側の知らない今までの子供の一面をいつでも提示できるように集めておいたり、考えたりしておきましょう。現在の家庭や週末の日本人学校(日本語で話す環境)での様子に関しても同様です。大きな問題がないようでも、日本で学校に通っていた場合は、現地校に通い始めて間もなくあるカンファレンスなどで、家庭での様子だけではなく、日本の学校ではどんな子だったのかも先生に知ってもらいましょう。子供がどれだけ英語ばかりの学校生活に慣れてきたのか、先生が参考にする指標になります。学校側からケーススタディを持ちかけられた場合は、日本人のスタッフがいるかどうかを必ず確かめ、本当にケーススタディが必要なのか、結論を出す前に学校から紹介された(もしくは、知り合いの)日本人スタッフ(できればサイコロジストかソーシャルワーカー)やアメリカ人であればバイリンガルのケースに詳しいスタッフとまず話してみることをお勧めします。参考までに、ESLの子供達の環境不適応に詳しいアメリカ人のスクールサイコロジストは、3年ぐらい様子を見ると言っていました。

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05/02
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