| 「世界選手権疾走記録12 」 |
| 3月26日(日)
ラストスパート(エキシビション) さて、エキシビションであり世界選手権の最終日である。 外へ出た直後に雨が降ってきた。ぎゃー!今まで傘がなくてもやってこれたが、風邪ひきの身にこの雨はこたえる。近くにあった韓国系の売店にかけこんで傘を買ったが、外へ出ると小雨になっていた。 ふっ。マーフィーの法則。 エキシビションは昼から始まるので、花束を作るだけでそれまでは…と思いきや、お土産をまだ買っていなかったのだった。のんびりできるようで結構時間がない。土曜日に買い物ができなかったのが痛かった。 時間もないがそれ以上に体力がない。幸いユースの周りには小さなスーパーをはじめ結構店があり、他の物を売りつつ花も売っている店が四軒もある。のぞいてみると大きさの割には品ぞろえがいい。こうなると気分が浮きたって体力回復、はしごして吟味した結果、ネットカフェをやりつつ花を売っている店で買うことにする。 のはいいのだが、いくつ花束を用意すればいいのだろう? エルビスは滑ってはいなかったものの、公開練習に来ていたらしい。どうも出る気はしないのだが、来たということは出るのだろう。まあ花を買わなくて後悔するよりは買って後悔する方がいいか。 エルビスには「Anytime, anywhere」に合わせて白いバラとカスミ草を、雪ちゃん達には…あの衣装に何を合わせろというのだ…濃いピンクのユリが目立つ色々な花が入った花束を選ぶ。花を包んでもらっている間もせきが止まらない私を見かねて店のお兄さんがのどの奥に薬をスプレーしてくれた。お兄さんありがとう。しかし甘味料の味もするのだが、辛い! 花好きの私は花束を抱えているだけでうれしくなって足取りが軽くなる。しかし駅へ向かう途中で妙な空虚感に気がついた。 左手が空いている。 そういえば去年のエキシビは花束三つ買ったから両手がふさがっていて会場まで持って行くの大変だったんだよなあ…ってあんた病人だろうが! 結局オーダーにエルビスの名前はなかった。 そりゃ国内チャンプ差し置いて出ちゃいけないわよね…。言い訳をさせてもらうが練習に来ていなかったら花は買わなかったのだ。なんで出ないエキシビの公開練習に顔を出したのよ。 あーあ、この花どうしよう…。 オープニングに子供達の演技か映像か何かあっただろうか?よく覚えていない。 トップバッターのサンデュー君はショートよりもさらに踊りまくり弾けまくりのナンバー。地元ということで弾けているのか演技だけでは飽き足らず、戻って行く途中にでんぐり返り。サンデュー君可愛いぞ! 去年までの神経質なまでに繊細なバリバリのクラシックは本性を隠していて、あなた実はクラブとか行ったら踊りまくるタイプなんでしょう(笑)! やっと新しいタイプの本田君のエキシビナンバーが見られた。演技もラテン系に弾けていてよかったのだが、それ以上に観客とのやりとりがおもしろかった。あまりにもおもしろかったのでこちらで勝手にアテレコさせていただく。真相を知っている方は「こう見えていたのか」と笑って見逃してください。 (本田君登場。) 「え?聞こえないよ〜(耳を手にあてながらジャッジの反対側の観客に向かって)」 (さらに盛りあがる観客。ジャッジ側へ向きなおり、始めのポーズを取りながら) 「あ〜はいはいわかったわかった(後ろ向きのままで手をひらひら)」 (演技。) (ジャッジと反対側に礼。)「(耳に手をあてて)え?何〜?」 (ショートサイドに礼。ショートサイドで対抗するようにものすごい歓声。) 「(ジャッジと反対側へ向き直り、ショートサイドを手で示しながら)ほーらこれくらい盛りあがってくれなくっちゃ☆」 本田君。カナダでの生活、楽しいんだね(笑)。 GPファイナルを見に行ったのでエキシビションのほとんどが一度見た事のあるものであるのに加えて体調が悪いので実は結構きつかった。なので今回は省略バージョンで書かせていただく。 トトミアニナ組の衣装は黒のオールインワンの一部にステンドグラスの窓のような模様が入っている。衣装のイメージ通り、賛美歌のような荘厳なナンバー。 ブティルスカヤのエキシビナンバーはすぐりんが先シーズンエキシビで使った方の「アヴェ・マリア」。定番のクラシックな女性ボーカルではなく、男性ボーカルで少しポップスよりにアレンジされている。彼女にこういうおしゃれに着崩した曲を滑らせると無敵。 シェリーン達はエキシビもガラっと変えてムードのあるおしゃれなナンバー。背中から手を回してくるシェリーンの手つきがしゃれにならない、そりゃここ1、2年ですっかりゴージャスになったのはわかっていたけど(わたわた)!相手がちょっと抜けているクラーツ兄ちゃんなのでほどよく中和されていたが、相手役が違えばものすごく濃厚な演技になるかもしれない。 ゲイブルのエキシビはゆったりした出だしからだんだんテンポが上がってノッていく昔なつかし青春のポップスという感じの曲。これが彼の素朴なキャラクターにぴったりで、このナンバーで初めて彼の演技を楽しめた。やればできるじゃん!そうそうあなたはそういう路線で行けばいいのよ。 ただ黒のまだら染めのシャツ、去年のエルビスのエキシビの衣装と似ているので変えてほしい…(^^;) 製氷が終わり、次はジェニファーか…とリンクサイドを見ると妙に見覚えのある頭の上半分が目に入った。あの黒髪、あのおでこ…運飛!うそ―――っ!! しまった――!花束用意してない―――っ!!左手の空虚感はこのことを暗示してたのね―――!! でもなぜ?そうか、予選のトラブルでレフェリーとやり取りしている時の笑顔の写真が新聞に載り(「裏方さんは大変だ」という記事)、ショート、フリーであれだけ派手に喜んでいた運飛は今大会の名物選手になっていて、カルガリーのみどりさんみたいに特別に招待してくれたのね!さすがカナダ、ありがとう、カナダ!!(なぜ礼を?)と感動しまくっていた私はヤグディンがエキシビに出ないことを把握していなかった。 あ、ちなみに滑ったのはショート。 ジェニファーは珍しく髪をおろして黒の衣装でシックにしっとりと彼女らしいナンバー。髪、以外に短いのね。肩につく程度だった。 今大会のエルドリッジにはスタンディングオベーションが完全に条件反射になった。しかし同じネタでショート、インタープリティブフリー、フリーと使い尽くした人はそうそういないと思う。「1492」といえばエルドリッジですね。ふっ、取られたわ(笑)。 雪ちゃん達の衣装はいくら私でもコメントに困る。しかしここでKが「水にきらめく月光を描いてるんとちゃう?」とナイスフォロー。ありがとう、K。オールインワンの衣装とロック調の月光が中性的でがんがん飛ばす二人のスタイルを現しているようで、懐かしいような新鮮なような気分。 雪ちゃんが花束を拾ってくれた。う、うれしひ(泣)。 スルツカヤがオールインワンの衣装を着ていてびっくり、本当にやせたのね。去年のエキシビに続いてセクシーさをアピール。曲も似たような感じ。 アニシナ組のエキシビはかなりドラマ仕立て。やっとアニシナさんとデートにこぎつけたペイザラ、しかし携帯が鳴って二股かけていることが彼女にバレてしまう。 この時のアニシナさんが殴るわ蹴り飛ばすわふんずけるわとすごい。男をもてあそぶ悪女の演技は数あれど、そこまでできるのはあなたくらいですアニシナさん!さすがアニシナさん、強いわ…いやここまで情けなくなれるペイザラも大物ですね。 ここでいきなりミシェルに順番が飛んでびっくり。先シーズンのスケートカナダみたいに早めに帰りたかったからじゃないよね?ヤグ…はあの足では無理か。ベレズナヤ組どうしたの? ミシェルのナンバーは「もし世界を一日だけ変えられるなら、病気で苦しんでいる子供達には優しい風を送って…」という歌詞(うろ覚え)で始まるミシェルらしい曲。この切ない曲にキラキラ光るゴールドの衣装は合わないよ(^^;)。演技がいつものミシェルでいいだけに。 もし世界を一日だけ変えられるなら、私は何をするだろう? フサポリ組のナンバーは帽子を小道具にしたバリバリにかっこいいナンバー。マルガリオはこの手のスタイルが一番似合うタイプのはずなのだが、フサポリさんの方が断然かっこいい!彼女の1ショット写真撮っちゃった☆ プルシェンコは妙に着ぶくれした格好で登場し、一枚脱げば肉襦袢をつけたムキムキマッチョマンの出現。練習を見た方の「フィリップ以上」というコメントを聞いてある程度路線の見当はついていたが、ボディービルダーのようにポーズをとっては服を一枚一枚脱いでいく。 もちろん会場は大ウケ、私も笑っていたのだが脱ぎ進むに連れてだんだん顔が引きつってきた。生身でないしギャグだとわかっていてもこういうのはやっぱり苦手なのだ。最後にはビキニパンツ一丁になるし腰は振るし、勘弁してくれプル(泣)!公開練習を見ながら「また髪の毛伸びたんちゃう?顔可愛いから服によってはボーイッシュな女の子に見えるかも」と口走ったあたしが悪かった――っ!! もはやこのプルに対抗できるのはサレー組しかいない。この組がトリで助かった。 オープニング、つつーとよってくるペルティエにお愛想の笑顔で応えてから後ろを向いて「あいつ、ちょっとこっちがいい顔したら『自分はイケてる』って思いこんじゃってさ。やーねー!」と観客に本心を暴露するサレーが可愛い!(注:アテレコです) GPファイナルのエキシビではあまりのラブラブな演技にすっかりあてられ、「それだけ表現力あるんだったら今度『憎しみ合う二人』っていうテーマでやってみたら?」とやさぐれ半分に思っていたが、サレーあなた可愛すぎ。君らもうこの路線で突っ走っていいわ、許す(笑)! エンディングは長野への引継ぎかと思いきや、その前にオリンピックがあるのだった。それぞれの色の衣装を着た人達が出てきて五輪の輪を作っていく。40才代の顔立ちで大柄の女性もいるので、選手ではなく市民スケーターなのだろう。そういえばカナダ連盟には「Can Skate」という一般向けのプログラムがあったのだったっけ。 スケーターが改めて紹介され、一周してから中央に集まるとパンパンパン!と爆竹系の花火のものすごい連発。これ、リンクにいるスケーターにはかなりの騒音だったと思う。「や〜ん、こわい〜〜」というようにひっつき合っているサレーとフサポリさんが可愛かった。 宿への帰り道に運がよければスーザンに会ってあいさつしようとホテルへ行くと、入口で友人と一緒にいる彼女を発見。日本土産を渡そうと近づくなり「エルビスの似顔絵持ってる?」 へ? どうもまだ写真を撮っていなかったらしい。お互いこれから用事があるので9時以降にロビーで会うことにする。 この日の予定はエキシビだけではない。バンクーバーに住んでいる元同僚の中国人、Wさんの家に遊びに行く約束をしているのだ。 スカイトレインとバスでの行き方を教えてもらっていたのだが、死にかけだったのでユースでタクシーを呼んでWさんの家へ。タクシーの運転手曰く住所を見れば「〇〇通りと〇〇通りの交差点から何番目の家」というのがすぐわかるらしい。全く迷わずに15分ほどでWさんの家へ。また小雨が降っている。 ダウンタウンの南にある閑静な住宅街は移民の割合が大きく、中でもパキスタン人やインド人が多いのだそう。日本での家より広さが2倍になったということで快適そうだ。 奥さんの手料理をご馳走になったのだが、チャイナタウンで素材をほとんどそろえられるので中国にいる時とほぼ同じ料理が作れるのだそう。香味野菜がたっぷり入った中華の家庭料理。お、おいしひ(泣)。バンクーバーで一番おいしかったごはんだった。 しばらくいっしょにテレビを見てのんびりしていたのだが、現地在住の非カナダ人向けのチャンネルがいろいろあるらしい。大橋巨泉の店のコマーシャルもあったなあ。 バスでスカイトレインの駅まで送ってもらい、再びホテルへ。 バンケットが終わっていたのかスケーターの姿がちらほら見えて、いかにも一流ホテルというロビーがさらに華やかになっている。しかしスーザンはバンケットに行っているという。おお、さすがカメラマン。Heart Of A Championに載っているあのバンケット写真はこうやって撮っているのね!「遅ければ遅いほどいい」と言っていたのはそういうことなのか。ならば帰って来るまで待ちましょう。わーい、スーザンの追っかけだ〜♪ この大会中に顔なじみになった彼女の友人、ジョナサンと「Are you okkake?」「イェ〜イ、We are 追っかけ〜♪」と盛りあがる。なんか、変。 待っている間もぽつぽつスケーターが戻ってきていて、超絶お美しい都築さん+リナートさん+クラーツ兄ちゃん+シェリーンでない女性の4ショット撮影風景を見かけたり、蝶ネクタイ姿のエルドリッジとニアミスしてあまりのかっこよさに後ずさりしたり、Kが家に国際電話をかけている間に2つ隣の電話機に着替え済みのヴァンサンが電話をしに来たりその後ユベールと立ち話をしていたりとちょこちょこネタができる。 そうこうやっているうちにスーザンが戻ってきた。さっそく捕まえ、写真を撮ってもらう。オフィシャルホテルでエルビスの似顔絵を広げる私達。かなり、変。(っつーか大胆) お別れとお礼のあいさつをした後、記念にそれぞれ2ショット写真を撮らせてもらった。まさか彼女もお願いされる立場になるとは思わなかっただろう(笑)。しかも世界選手権のロゴマークを見つけてバックにするという観光地のノリ。とっても、変! もう一度エルビスの姿を見たい気もしたが…いいや、帰ろう。 (11に戻る) |