「世界選手権疾走記録11 」 |
| 3月25日(土)
リハビリ(女子フリー) 成江が公開練習でルッツをきめられなくて何度もトライしている夢を見た。 バンクーバーに来て以来どうも眠りが浅い。夜中に必ず一度は起きたり寝ている間もずっと意識があって朝になっても眠った気がしていなかったのだ。その不快感がやっと悪夢という形になった。痰も出てきたし、風邪のピークは越えただろう。明日はもう少し治る。 女子フリーは夕方から始まるので今日はたっぷり時間がある。Kはスタンレー・パークへ観光&買い物に出かけたが、私はずっとベッドの中。昨夜(今朝?)Kが買っておいてくれた食べ物をつまんでは寝、目が覚めるともう少し押しこんで寝てを繰り返してひたすら回復に努める。そういえば昨日はタクシーで宿へ直行して私は即行寝たのだが、K、晩ごはん食べたのか? 今日は寒かったらしく、Kは予定より1時間早く戻ってきた。桜にはまだ早かったそう。 雨が降っているらしいのでタクシーで会場へ向かう。いつもとは違う南回りのルート、会場へ入る少し前に広場があった。Skatefestはここでやっているのだろうか。結局行きそびれてしまったなあ。まあいつも観戦だけでいっぱいいっぱいだったから無理だったとは思うが。 競技開始に間に合うように着いたのだが、私は昨日お世話になったテーブルでモニター観戦。第三グループまで体力をセーブすることにする…つもりだったのだが、テーブルの上で再びお昼寝。体調が悪いといくらでも寝ることができる。 おそらくこの場所は食べたり飲んだりしながらモニターで試合を観戦できるようになっているのだろうが、そんなことをしている人は1人もいない。「大丈夫?」と起こしてきた店員は昨日と同じ兄ちゃんでしっかり顔を覚えられている。そりゃ目立つか(^^;) 結局製氷が始まった頃に席へ向かう。 それにしてもエルビスは完全にメディアブースの主と化している。おかげでこっちもメディアブースを観察するのが習慣になった。 今は製氷中なので出入りが多くて休憩モード。エルビスはいつも隅っこに座っているのだが、今日はUschiさんと一緒に真ん中に、しかもインカムをつけて座っている。いつもそこにいる解説者がいない。今日はお仕事? そのうち解説者が戻って来て二人はいつもの席へ戻った。なんだなんだ、師弟そろって何やってたんですか。 あ、すぐりん第二滑走(^^;) 終盤に疲れが出たのだろうか。昨日ほどのスピードや勢いはないが、予選でミスしなかった方のエッジジャンプと二度目のルッツのミスだけに抑えた。ケガで充分に動けなかった先シーズンを考えるとよくここまで上げてこられたものだと思う。来シーズンどこまで食い込めるかが楽しみになってきた。 ヘルシンキとニースで「いつもにこにこ可愛い」という印象があったフォンタナ。そんな彼女の今シーズンのフリーはTime
to Say Goodbye。「今までの自分を捨てて二人で新しい世界へこぎ出そう」という歌詞の内容そのままの幸せそうな表情…と予選の時には思っていたのだが。予選はよかった。ショートも確かノーミスだった。思い返してみれば演技中のテンションがだんだん上がっていっていたような気がする。 フリーでは既に演技を離れているような表情、恐ろしく調子がいいわ反応のいいこの観客の前だわとくればもうテンションの上昇が止まらないのかもしれない。さすがイタリアン、女の子もすごい(笑)。ああもう演技中から叫んでいるし感極まっている。こんな表情でスパイラルする人は初めてだ(笑)。キス&クライでは点数が出てから泣いていた。ベスト10、来年2枠だよ!おめでとう。 ギスメロリのフリーは先シーズンと同じプログラムで予選、ショートと一貫して精彩はないがまずまずまとめて第三グループにいる。しかし今日の彼女は始めのジャンプが終わったあたりからずっと泣きそうな顔をしていた。このジャンプで大きなミスはしていなかったと思うのだが…いったいどうしたの? 最終グループは見事にアメリカとロシアが3人ずつでしかも滑走順が前半3人がアメリカ、後半3人がロシアなのだ。ちゃんと抽選をしているのだろうか?まあ抽選ゆえの偶然なのだろうが。 サラちゃん、若いわ。一日に2回フリーを滑ってバテバテだったファイナルでも1人元気だった彼女。とにかく滑る事が楽しくて楽しくて仕方がないような笑顔。バレエジャンプも弾けているし、若手のこんな勢いは本当にすごい。 そしてキス&クライへ行く途中に観客席を向いてこんなこともしてくれたご機嫌なサラちゃん。予想外の行動だったのでフレーミングが(^^;)。この時関係者席から彼女に大きなピンクの熊のぬいぐるみをプレゼントしていたのはナオミ? ニコディノフは初の最終グループで硬くなっていたのだろう。なんとかジャンプを持ちこたえていっているのだが、昨日感じた流れがない。とうとう終盤のループをダブルにし、観客から大きなため息。ぎりぎりまで張り詰めていたものが切れてしまった。 ミシェルは昨日の演技を見たせいでこのプログラムがとにかく地味に見えて仕方がなく、どうもそつなくまとめたという印象しか残らなかった。しかし終わった後去年並みに喜んでいた所をみると会心の演技だったのかもしれない。 対照的に元気なスルツカヤ。さあジャッジ前の3連続ジャンプ!しかし最後のジャンプが両足になった。 あっけない世界選手権の幕切れ――― と、こっちの気分が冷めていく間にスルツカヤはさらに3ルッツ+3ループ+2トウ!だが最後のジャンプが完全に止まってかえって傷を広げてしまったような気がする。 しかしこの時のスルツカヤはえらくいい表情で滑っていた。不思議なことにジャンプを二つ大きなミスをしてそれでもめげないという悲壮な印象がない。終わった後も会心の演技だったように喜んでいる。なにちょっと、ひょっとして始めの3連続ジャンプ両足じゃなかったの!? 点数が出るまでのリプレイを見ると確かに片足で降りている。うわーもったいない、両足と思っていなかったらもっと彼女の演技を楽しめたのに。それにこうなると勝負の行方もわからなくなる。ミシェルが上だとは思うが、スルツカヤのこのジャンプ内容は無視できない。 結局ミシェルが上だった。 ボルチコワは無難にまとめたのだがどうも大会を通じて印象が薄い。去年と同じ、いやミスがなかったという点では去年以上の6位だと思うのだが、「世界選手権でメダル獲っちゃうんじゃない?」と先シーズン名古屋で感じた勢いがないのだ。壁にぶつかっているのだろうか。 ブティルスカヤは昨日のショートで浮上するきっかけをつかんだのだろうか。まだ違和感があるのだが、かくっ、かくっという動きが表現になっていてそれほど気にならない。それに今日は気迫がすごかった。終わった後には今大会初めての笑顔。よかった。 3+3のシークエンスもきめた執念のフリー3位。だがメダルには届かない。 スカイトレインの最寄り駅の入り口が桜の色に染まっている。初日に予想した通りだが、よく見ると八重桜。八重桜はソメイヨシノより遅いというイメージがあるのでこの時季にこれだけふくらんでいるのは不思議な気分になる。 今は小雨だが、試合を見ている間に本格的な雨が降ったのだろう。桜のつぼみが咲かないうちに地面に落とされている。 今回の世界選手権の私に通じるものがある。 外国を旅行して食べ物に困ることはそんなにないが、さすがに体調を崩すと日本料理や中華料理が恋しくなる。いざという時の駆け込み寺におふくろの味の日本料理の店があるのはチェックしていたが、無性にラーメンが食べたかったのでロブソン通りのわきにあるラーメンと餃子の店へぶうたろうさんにもつきあってもらう。 かねてから食べてみたいと思っていた坦々麺があったので即行注文したら、薬味以外の味がほとんどない。味をつけようと醤油を少したらしたら余計にまずくなった。キムチラーメンにしておけばよかった。 世界選手権が終わってしまった。 追記: |