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「世界選手権疾走記録 9」


3月22日(木) 続、迷走(男子フリー)
GMプレイスは普段からホッケーやバスケットボールの試合に使われていて、臨時の出店でなく常設でちょっとした食事を用意している店もあり、テーブルがたくさんある。テーブルは自由に座れるので適当な場所を探したのだが、さすがに男子フリー前。全てのテーブルが埋まっている。
幸い半分以上スペースを残してテーブルを占領している二人組を見つけたので、花束のラッピングにそのスペースを使わせていただくことにする。

「あら、その花キュートね。誰に?」
「エルビスに」
気を使わずにそのまま名前で言える事が嬉しい。


花束をラッピングし終えて席につくなり斜め後ろの人が写真をくれた。実は昨日雪ちゃんから花束をもらって大騒ぎの私達に「記念写真撮ってあげる」と写真を撮ってくださったのだ。ありがとうございます!(ピントが少々ずれていたが)しかし写真に映る自分の表情を見て一気に凍りついた。
「うちら完璧チャイニーズ(^^;)」とK。
まずい。

考えてみれば観客席での私は今まで明らかにエルビスより中国勢の事で騒いでいる。私の中ではエルビスと中国勢に対してスタンスが違い、中国勢の時はそれなりに騒ぐがエルビスの時は凍りついているのだ。しかし周りの人達に中国が本命と思われていたらどうしよう。似顔絵を託してくださって本当に助かった。
いやそうなっても私は自業自得なのであって、まずいのはむしろKだ。私につきあって旗を振ってくれてはいるが、そもそも彼女が花束を作る相手はヤグディン。K、ヤグディンの応援グッズ作れ!一緒にいる時はあたしも使うから!


第一グループの選手が待機している間、第二グループで滑るサンデュー君がなぜかキス&クライ付近にいた。ウォームアップにしては客席に手を振ってるし(^^;)

田村君がすごい気合だった。今回の世界選手権は大会を通して同じ席に座っている。したがって同じ角度からフリーを二回見ることになるのだが(そして同じポーズの写真を撮ってしまう^^;)、同じポーズをしていても表情や動きの大きさが全く違う。ところどころミスがあったのでジャンプの内容は予選の方がよかったと思うが、演技としては今回の方が断然いい。よかった、世界選手権でやっと田村君のいい演技が見られた。
終わって礼をしてからもこの表情。黄色い歓声が上がろうが民族大移動が起ころうが飄々としていたイメージの田村君、こんな所を見るのは珍しい気がする。





第2グループのウォームアップ中に「San-dhu, can-do!」の声。気持ちはわかるがそれはちょっと(^^;)

そのサンデュー君、クワドをきめ、アクセルもきめ、ジャンプをどんどんきめてスピードもある。とにかく不安定な彼なのでそっちの方向に頭が行ってしまって演技に盛り上がる余裕がなかったのだが、そのまま最後まで滑り切った。やっと大舞台でやってくれた、やっとサンデュー君のいい演技が見られた!
これでエルビスがいなくなっても安心できる……!





サンデュー君の時にエルビスを意識したおかげで一気に緊張の度合いが上がり、おかげでこのグループはあまり印象がない。張民はクワドのソロはきめたと思うのだが、いつもよりさらにスピードのなさが目についた。遅く見えてしまうタイプなのだろうか?どうも今回の彼は一貫してさえない印象しか残らなかった。

セルゲイ・リロフ(アゼルバイジャン)は去年と同じカルメン。途中でへろへろになった去年と違い、闘牛士らしい力強さも出てきてノーミスだったと思う。同じプログラムを二シーズン続けて滑った成功例だろう。
いつも無表情でいかにも旧ソビエトの選手という彼が、終わってから天を仰いで「やった!」という表情とリアクション。そういえば今回の彼は予選、ショートとずっと完璧な出来だったのだ。それは嬉しいだろう。
ただ演技として見るにはあまりおもしろくないプログラムなので、来シーズンには次の段階へ進んでほしい。






ショートの時にも思ったが、選手がものすごく生き生きして見える。今まで無表情しか見た事のなかったスケーターが演技を終わった時に何らかの感情が表に出る。軒並み出来がよかったということもあるのだろうが、滑っていていつもと違う感触があるのではないだろうか。そうだろう、これだけ反応のいい会場で滑るのだから。「カナダで滑るのは楽しい」というコメントはリップサービスだけではないと思う。
いったい何なのだろう。スケートを楽しもう、いい演技には盛り上がろう、がんばれ!という観客のポジティブな思いや願いがこの空気を作り出しているような気がする。

でも、その願いに一番応えてほしい人は……。


早めに出てきたエルビスは本田君と握手をし、続いてスタニック・ジャネットと。すっかり見慣れたこの構図、そういえばこの二人は予選とショートも同じグループだったのだ。律儀に三回とも握手しに行くエルビスもたいがいだが、それに三回とも笑顔で応えてくれたスタニック・ジャネット、君はいい人だ。
ディネフは捕まえそこねた様子(^^;)

フェンスの扉が開いて解き放たれたのはスケーターではなくて観客のテンション。「Happy birthday, Elvis!」の声が飛び、複数の場所で小さな合唱も。早いってば。
メディアブースにサレー組とワーツ組の四人が来ている。普段以上にスタッフが待機しているのでメディアブースが定員オーバー状態になっている。
会場が、メディアが、同じ国のチームリーダーや世界チャンピオンまでもが見つめる一人の存在。
それが、エルビス・ストイコ。


エルビスは目の前で慎重に慎重にループ、続いてルッツ。そしてあっさりクワド+3トウ、歓声が起こる。クワドはニースよりいいのだ。今回の七不思議に入るな…と思った時にもう一度クワド+3トウ。しぼり出すようなジャンプのフォームに長野オリンピックフリーとヘルシンキのフリーの嫌な感覚を思い出した。エルビスがウォームアップでこんな跳び方をする時はロクなことがない!
ちょっとエルビス、もう…と思った時にもう一度クワド+3トウ!悲しいくらいにきれいなランディング。「兄さんクワドはもういい!アクセルは!!」そう叫んでも隣のKでさえ聞こえていないかもしれない大歓声。まさかアクセル跳べない状態なのをクワド跳んでごまかしているんじゃないでしょうね!?大丈夫、まだやれるってこんな形で観客にアピールするのやめてよ!!
ウォームアップで何を跳ぼうが本人の勝手だし、そんな所にまでチェックを入れられるエルビスはつくづく気の毒だとは思うが、必ずと言っていいほど跳んでいるジャンプを跳ばないのを見ると不安になるのがファン心理。会場の盛り上がりと反比例して私の心はどんどん冷えていく。
だめだこれは……!


結局エルビスはアクセルを…いや、単独のダブルアクセルは跳んだのだった。
第一滑走がアンソニー・リウで助かった。旭川NHK杯といい。

しかしそのアンソニー・リウ。クワドを転び、アクセルを転び、ルッツのコンビネーションもセカンドジャンプがダブルに。ここで彼がすごく辛そうな表情をしていることに気がついた。出来がよかろうが悪かろうが表情が変わる所なんて見たことがなかったのに。
ループがきまってやっと予定通り、表情も和らいだ。軌道が修正できたと少し安心したのだが、気がついたらまた険しい表情に戻っているしやはり動きがよくない。二度目のルッツがダブルに。
朝の練習といい、実はどこか傷めていて悪い状態だったのか……。





背水の陣とはこういう時のことをさすのかもしれない。マキシマスの戦いは勝算のないものだったのだろう。
それでも退くわけにはいかない。いや、自らがそれを許さない。

始めのジャンプでさえ異様な歓声。声を出して気がついた。待てこれはフリップだ、クワドではない。
その歓声が次のジャンプで悲鳴に変わる。当たり前だ、四度目のクワドを誰が期待できただろう。実は今回クワドよりもっとウィークポイントではないかと思っているアクセルは当然トリプルが入らない。悲鳴がだんだんため息に変わっていく。
どんどんエルビスの表情が弱っていく。途方に暮れているようで、最後まで滑りきれるのだろうか―――




ため息が手拍子に変わったのはいつからだっただろう。


ループはきめて音楽と手拍子で背中を押そうとする空気に変わるが、サルコウが入らない。あれほど得意なルッツまで。
それでも最後のスピンで大きな拍手とスタンディングオベーション。まるで会心の演技だったかのように。
これは本当に地元の選手を応援するためだけのものなのだろうか?

マキシマスの復讐は果たせなかった。彼は返り討ちに遭い、歴史には反逆者としての姿のみが記されるだろう。いや、むしろ記録から抹殺されるのかもしれない。統治者にしてみれば反逆者の存在は記さない方が治世の安定になるのだから。
それでも。
戦った姿を、復讐を果たそうとした姿を見ている人間がいる。戦いを離れた時の姿を知っている人間がいる。彼らはその姿を語り継ぐのだろう。伝説という形で語り継がれた、マキシマスの価値はそこにあるのではないだろうか?

なぜそんな事を考えてしまうのか、なぜそこまで強いものを感じてしまうのか。



終わったよ―――


貸していただいたエルビスの似顔絵は立たないと振ることができない大きさである。演技が終わったら立たせてほしいと後ろの席の人に言っておいたのだが、その必要はなかった。
何のことはない。私の席の周りはみんなスタンディングオベーションしていたのだから。

ゆっくり三方向に礼をして、キス&クライへ。

Happy Birthday To You
Happy Birthday To You
Happy Birthday Dear Elvis
Happy Birthday To You


「おかえりなさい―――
と言うべきだったのかもしれない」とは男子ショートが終わった時のよりきさんの言葉。

おつかれさま。辛い誕生日になってしまったね―――


怖れていた時がついに来た。
そびえ続けていてほしいと思い、乗り越えられてほしいとも思っていた壁が崩れてしまった。ここまで崩れては仕方がない。破片をまたいでどんどん先へ行ってほしい。
いっそのこと手の届かない所まで。

この次に滑るスケーターが本田君というあたり、とことん舞台が整っている。投げ物の片づけがなかなか終わらず、滑りまわるのにさえ支障が出るという長野オリンピックフリーのエルビス状態。しかしその間に「Takeshi!」「Happy birthday, Takeshi!」の声もあちこちから飛んでいる。大丈夫、長野のエルビスよりはましだから。
しかしスタートの体勢についた時にまで声をかけることはないだろう。苦々しく思いながら見ていると、本田君が氷から何か拾ってジャッジ席へ滑っていく。投げ物のせいで何か落ちてたのね!?
うわ――っ、本田君ごめんなさい―――!私のせいではないがリンクに花束を置いたエルビスのファンとしては居たたまれない気分。
でも大丈夫でしょう?アランフェスを自分のものにしているのだから。

初めにこのプログラムを見た時に一年がかりで仕上げるプログラムだと思った。
そしてシーズン後半の演技でスケートファンの認識を潜在能力が高いスケーターからトップクラスのスケーターへと変えさせたと思う。あとはジャンプだけなのだ。
イーグルからのアクセルをコンビネーションにするなど後半で立ち直りはみられたが、終わってからの表情が。
完成させる事ができなかったね………。






とことん続く四大陸勢。滑走順にこだわっていたことも今となっては馬鹿らしい話である。そういえばエルビスからの3人は四大陸選手権の歴代優勝者なのだ。
四大陸選手権の現優勝者が第3グループにいてどうするんだよ、成江。

プルシェンコを見てしまうと成江のスローパートの腰振りはかろうじてわかる程度の大人しいものに思えてしまう。それでも盛り上がるカナディアンって、感度というかノリがいい。ありがとうカナディアン(泣)。
クワド+3トウはきまったがサルコウをすっぽ抜けで予選とは逆になった。演技としてはまとまっていたのでこっちの方がいい。

成江が終わった後集中力が尽きてしまい、写真は撮っても演技の記憶がない。


最終グループのウォームアップが始まる前に偶然視界にメディアブースが入った。
エルビスが端の方に座っている。
衣装をつけたまま。

壁は造りなおしがきくものである。


ヤグディンはランディングでふんばり切れず、足が痛くて滑っているだけで精一杯なのがよくわかる。ただ不思議なことなのだが、むしろこの時の演技が一番音楽を表現していたような気がする。
もちろんこれまででも激しさや強さが感じられたが、どこか余裕を残しているようで復讐するよりされる方、覇王の姿が浮かび上がっていたのだ。それが闘志をむき出しにする戦士になったような…。ところどころで振り付けを変えて、最後のストレートラインの出だしで観客に拍手を要求する。
あのな―――――!
そんな所でエネルギーの無駄遣いするんじゃない!ここの観客はスケートが好きであなたの演技が好きで、そのステップは誰が見たってすごいのに盛り上がらないわけがないでしょう!
何考えてるんだまったく。キングって言ったの取り消すぞ……。

キス&クライへ向かう時に「この足がね〜(^^;)」とこつんと右足をたたくまねをしたヤグディン(後日指でキスをしていたことが判明)。そうだったね。
どうも彼は腹を立てている人間を苦笑してチャラにさせてしまう所がある。


出だしのミスをそのまま引きずり、膝をついたフィニッシュのポーズのあとそのまま顔を覆ったアプト。彼のグラディエーター、予選の時には人ならぬ無気味な世界の象徴が浮かび上がって見えたのだが……。

どこか危なっかしかった4+3+2。そしてその後がクワドでなくアクセル。何か動きや表情がぎこちなくて、決して「問答無用!」と刀を突き付けてくるいつものプルシェンコの演技ではない。しかし文句なし、世界チャンピオンだけではない、今シーズンのグランドチャンピオン!今年のあなたには誰も勝てません。

今大会のエルドリッジに対しては既にスタンディングオベーションが条件反射になりかけている。この大会で最もコンスタントに、そして最も大きく観客を魅了したのは間違いなく彼だ。もう演技についてこれ以上あれこれ書くのは、かえって感動を損ねるような気がする。
「Age doesn't matter.」エルビスが繰り返し言っていた言葉をリンクの上で証明したのはエルドリッジだった。
なのに。

これだけやってブロンズ止まりなの?


初の世界選手権で150%の演技をし、最終グループにまで入ってしまった運飛。予選、ショートでぎりぎりこらえていたクワド+3トウ、今回はふんばり切れず他にもぽろぽろミスがあった。それでもよく大崩れせずに滑りきった…と思っていたのだが、本人の手応えはその程度ではなさそうだ。
終わったあと喜ぶ喜ぶ、その場で飛び跳ねるなんてヘルシンキのマリニナ以来(笑)。キス&クライへ引き上げる時にこっちを向いて深深とお辞儀。ああそんなことされてしまうと。運飛〜〜ごめんよ〜〜〜〜(泣)
キス&クライでも座っていられない。点数が出てがっくり椅子に座りこむ。そんなに期待していたのか。わかりやすい(笑)ああでもジャッジの皆さん、お願いですからこのことで運飛を「ジャッジにたてつく選手」のブラックリストに入れないでくださいね。ただ単にがっかりしているだけなのよ〜〜。

ゲイブルには非常に申し訳ないのだが、今回の彼は本当に印象が薄い。最終グループでこれほど印象に残らない選手は初めてだ。
何が足りないのだろう?コンスタントという点ではエルドリッジと全く同じである。しかもクワドを全てきめていて、ジャンプの内容なら彼がゴールドなのだ。去年とは違って身のこなし方一つにも表現をしようという努力が感じられる。無理があるのはまだスタイルを見つけるまでの過渡期だからなのだろう。
だがその路線はやめた方がいい。
青い服を着てその身のこなしは既に同じ国にオーソリティがいるのだ。



いつのまにか本田君は5位まで順位を上げ、中国男子が3枠をキープしていた。
サンデュー君にも抜かれたのね。


表彰台のエルドリッジが笑顔でいたことが救いになる。

ロシア国歌が聞いた事のないメロディーになっている。せっかく覚えたのに(笑)。
でも、これもすぐに覚えるわね……。







……無理だ。長い!


表彰台から降りてまっすぐカメラマン席へ向かうプルシェンコ。遅れてしゃべりながらついて行くヤグディンとエルドリッジ。あれ?この二人、エルドリッジの方が背が高かったのね。




さて、男子フリーが終わった。
10位のエルビスは来シーズンはトップグループから外れた存在になる。これからどうなるのだろう?


今シーズンはつくづく何が起こるかわからないことを痛感させられたが、それでも一つだけ断言できることがある。
このままで済ませようとするキャラではないということだ。
幸いこれからオフシーズンになる。ケガを治して来シーズンはきっと逆襲してくるだろう。ファンはそれを信じて平然としていればいい。それも一つのサポート行為ではないだろうか。

結果としてこのままで終わるかもしれない。しかしそれで辛い思いをすることはない。本人にとっては大問題だが、ファンにとってはどちらに転んでもそれほどの問題ではないのだ。
結果がどうなろうがその結果に行き着くまでのプロセスで確実に何かが残る。そしてそれはファンを失望させることはないだろう。その人が持つ結果以外の何かに惹かれるのがファンというものなのだから。
それにあれだけジャンプをミスしてもエルビスの演技には魅せるものがある。この人にしか出せないものがある。
それを知っている人がいる。それがエルビスには通じている。
(あれだけ盛大にハッピーバースディ歌ってもらったんだからねえ…)
それさえわかっていればファンなんて結構楽にやっていけるものなのかもしれない。

だから大丈夫。今は何も考えなくていい。


エルビスがカナダでどんな存在か見たいとずっと思っていたのだが。
いくつものスポンサーを持ち、複数の大きな賞を得てボランティア活動にも名前を連ねる存在。生で見る事がpricelessという表現がカード会社の宣伝に使われているこの存在は、来シーズン以降どうなるだろう?
スポンサーは去り、数々のメンバーから外されて忘れられた存在になるのだろうか。

「エルビスのフリーが終わったらみんなでハッピーバースディを歌いましょう!」とインターネットで呼びかけがあったらしい。
しかしわざわざ呼びかけなくてもあの合唱は起こっていただろう。そう言わせる絆が確かにあの会場にはあった。

会心の演技をした時には大いに盛り上がり、傷ついて帰ってきた時には暖かく出迎える。カナダのスケートファンにとってエルビスは英雄であるだけではなく、自分達で見守り育ててきた存在でもあるのかもしれない。
子供達にとっては近所のカッコイイ兄ちゃんであり、年配の人にとってはずっと見守ってきた存在。ひょっこり姿を見せれば「お茶でも飲んでいく?」と気軽に受け入れ、テレビで姿を見たら共通で話題にできる遠い親戚のようなものなのかもしれない。
たかだかケガで一シーズン棒に振って一つの試合でボロボロの演技と結果を残したくらいで切れるような絆ではないのである。
なにせテレビ映像でさえカルガリーオリンピックのシーズンに国内ジュニアで優勝した時からのつきあいなのだから。

ナショナリズムに左右されない国籍が違うファンであることをおもしろくも誇りにも思っていたが、こうなってみると同じ国に生まれてもよかったかなと思う。

うだうだ分析などせずにただなんとなく穏やかな気分に浸っていればいいものを。



Kと一緒に来ているのだから男子フリーが終わったら打ち上げで飲もうとたくらんでいたのだが、疲れすぎてアルコールが入りそうにない。タイ料理の店でアルコールの欄にあるアップルサイダーを意地になって頼むが、味は完璧ジュース。やっぱりビールにしておけばよかった(^^;)
ああ、鶏肉とココナッツミルク入りのトム・ヤムが観戦疲れの体においしひ…。


ユースの一階には調理器具も食器も備え付けた共同の炊事場があり、食堂もある。Kが入れてくれた生姜湯を食堂で飲みながら二人して口にした言葉。
「終わったね…。」
まだ終わっていない。むしろ世界選手権はこれからが山場なのは経験上わかっているはずなのだが、つい出てきてしまった。
へちゃ〜とテーブルに突っ伏す私とK。疲れた…………。

(続く)

追記:
・長野世界選手権の男子フリーは3月21日、エルビスの20代最後の日です(カナダ時間は違いますが)。万が一出る事になったら整いすぎの舞台ですね(^^;)

・エルビスが22日、ヤグディンが18日、本田君が23日とどうも誕生日が多いこの時季。ふと思いついてメディアインフォメーションを探してみると張民が24日でした。本当に多い(^^;)宿泊先が誕生日にサービスをするようなホテルだったら大変ですね。

・これを書く時に「しょうがゆ」を変換すると「生姜酒」が出てきました。お湯を入れて溶かすだけのものなのでアルコールは入っていないはずなのですが、なぜ?

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