「世界選手権騒動記録12」 |
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12(4月1日(土)) モナコ観光 女子フリーは午後4時から始まるので結構ゆとりを持って観光ができる。シャガール美術館へ行く道すがら稲垣潤一の「ロング・バージョン」を歌い、絵を見てそれを部屋に飾る女性のイメージを創造するというささやかな野心があったのだが(コ〜ピーの〜シャガール〜壁に♪)シェリルはモナコへ行きたいらしい。せっかく丸々半日使えるのだから少し足を伸ばすことにする。 試合からの帰りにはいつも陽気な若者の酔っ払いグループがたむろしている通りを通っていた。だだっ広い空間を店が取り囲んでいるこの場所、地図から判断するに観光名所の「旧市街」ではないだろうか?夜だから何もないだけで昼は市場があるに違いない。市場が大好きで街を歩いて空気に触れないとストレスが溜まる私。駅までタクシーで行き、そこから電車で行くというシェリルのプランを強引に変更させてこの空間を通ってバスターミナルへ行き、バスでモナコへ向かうことにする。 今日は絵に書いたような快晴。こんな濃い青の空は見たことがない。 案の定思っていた空間は市場だった。可愛いお皿に色とりどりのハーブを売っているお店が一番手前にあり、これで一気にテンションが上がる。単品だけでなくいろんなハーブをミックスしたものも売っている。ハーブは詳しくないので一番可愛い色あいのハーブミックスの使い方をお姉さんに教えてもらい、お土産に小袋で買うとハイテンションの私にあきれていたはずのシェリルもちゃっかり小瓶を買っていた。定番の果物や野菜が軒並みおいしそうで見たことがないものもある。オリーブ屋さんはオリーブしか売っていないのに店全体が妙にカラフル、赤いオリーブは初めて見た。パン屋さんもある、ああここでもパンが買えたのに。肉屋さんでは豪快にさばいた肉の塊がドン!と置いてある。肉屋と生物屋が並んでいるので保健所に引っかからないんだろうかと考えるあたりがちょっと悲しい(職業病^^;)。 お菓子屋さんではマジパン?で細工した野菜の形をしたお菓子を量り売りしている。ここで初めて見る野菜もあるので珍しさと可愛いらしさにきゃあきゃあ言いながら選んで買っていたら、見事に客寄せになっていた。店のおじさん、感謝するように(笑) そ・し・て♪ お花―、お花―、おはな――っ!!! さすがガイドブックに載っている花市場、巨大で日本にはない取り合わせのブーケがいっぱい!そして普通の花もいっぱいある、しかもエルビスのフリーで使いたかったイメージ通りの花がある!ああっもっと早くここに来ていれば!! 花束フェチがこの市場を見てじっとしていられるはずがない。一度あきらめた花束モードが再燃。決めた、明日のエキシビは届かなかろうが何だろうが花束作る! 市場はまだまだ続く。ちょっと曲がれば古本屋市、ああっおもしろそう! しかしこれ以上道草すると市場に興味のないシェリルに悪いし、そもそも目的地はモナコ。時間がなくなるのでバスターミナルへ。 ニースには電車もあるがバスの方が多方面に行くには便利そうだ。しかしその割にはターミナルは閑散としている。時刻表や地図がないのでどのバスが何時に出るのかわからない。いかにも暇そうなカウンターのおじさんに訊くとちょうどバスが出発していきそうなところ、モナコ行きのバスはしょっちゅうあるので待つ必要もないらしい。チケットはなく、バスに乗り込む時に20フラン(だったっけ?)を払う。 モナコへは一つ峠を越していく。海沿いに行くので進行方向の右側には延々と海が広がっている。空の色よりやや色が軽いがやっぱり鮮やかな青。ここには「水色」の概念はないのかもしれない。 そして反対側は家なのか宿なのかよくわからないが白い壁に黄色がかったオレンジ色の屋根の小さな建物が並んでいる。庭の木に松が多くてまたこの松の形が違う。葉が多くて木の幹が見える度合いが少ないのが何か不思議。 ここの人達に日本庭園の松を見せてみたいものだ…って、モナコに日本庭園があるんだった^^; バスの中で男子フリーに書く文章を考えていたら(今から考えるなよ)いつのまにかうとうとしていたらしい。「英語の曲流れてる〜(^^;)」というシェリルの言葉で目が覚めた。 しかも知っている曲だったということ。フランスに行ってそれは気の毒。観光客相手に気を利かせたつもりだろうが、どうせ流すならフレンチポップスにしたらいいのに。 モナコは「モナコ公国」の名を持つのでフランスとは別の国なのだが、税関も国境も何もない。運転手さんが「Monaco」と言ってくれなければモナコとわからないのだ。観光地のバスの停留所であるにもかかわらず路線図も地図もなく、ただバス停の目印があるだけ。お互いが持っている地図にバスの停留所がないので自分達がどこにいるかなかなかわからず、しばらく迷った後で王宮の案内板にたどり着く。 王宮は大きくないが小高い所にあって街を見下ろすことができる位置にある。敷地内が塀で囲まれているのがやはり城というのを感じさせる。シェリルはおみやげ屋さんに直行、なんかこの人の方が日本人みたいだ。 彼女がお土産屋さんに行っている間に私は塀のすぐそばにある大砲へ直行。大砲は海に向けられている。うーん絵本の世界。よく見ると大砲の台座は砲丸でデコレーションされている。何度も侵略の危機にさらされながら独立を守りぬいた誇りの表われか。 斜め下にヨットハーバーが広がっている。 ![]() 鳥になりたい。 この塀から飛び出してこの空間を旋回できたらいいよなあ………。 シェリルは王宮の中を見たかったらしいのだが、今は公開されていない(公開は夏のみ)。内部を見るのを楽しみに来たのに、これまた気の毒。とりあえず敷地内をもう少し歩くことにする。他に何があるかというと…お土産屋と食べ物屋。電飾がセットされているので夜になると綺麗だろう。まあ王宮に住んでいる人が外へ散歩に出られる環境ではないな。 子供サイズのレーシングスーツを売っているあたりがさすがF1グランプリレースのあるモナコ。車好きの甥に何か車グッズを買ってあげようかと思ったが、もう一人の甥がそれほど興味がなかったことを思い出してやめておく。 そのお土産屋さん通りを抜けると大聖堂の前に出る。どうでもいい話だがここのスズメ、ハト、カモメは警戒心というものが全くない。大聖堂の前で少し立ち止まっていると至近距離にわらわらやってくる。それだけならよくある話だが、着陸体制をとりながら私の頭をおもいきりかすっていったスズメさえいるのだ。 こら。焼き鳥にされても知らんぞ(笑)(←さっき鳥になりたいと言った奴のセリフかい) 大聖堂のドアを開けると暗い空間が広がる。ここには歴代の王族の棺が収められているらしい。眠っているところをすみません。 おじゃまします(小声)。 モナコといえばグレース・ケリー。もちろん彼女の墓碑もある。名前はPatriciaと本名だが、一つだけ花束が添えてあるのですぐわかる。 ここには賑やかな外とは完全に切り離された空間がある。あまりの静けさに…眠くなってきた(^^;)ここで昼寝したら絶対熟睡できそう。別の意味でも魂を安らげる空間であるらしい。常に人の視線を浴びる昔の王族はお祈りをしに行くという名目で実はここでこっそり昼寝をしに来ていたんじゃないかと妙なことを考える。 出口に各国語で書かれたモナコの本の自動販売機があった。おいおい(笑)! モナコの観光スポットは大きく2ヵ所に分かれている。王宮を中心とする西側とカジノが中心となる東側。路線バスに乗ってカジノへ向かう。 このカジノはとにかく高級で、ドレスチェックが入るような所。一般の観光客が入るのは夢のまた夢で、建物を見るだけというモナコの代表的な観光スポットと化しているらしい。入れないカジノに行っても意味がないと思うのだが…まあいいや。 「スケート観戦だけじゃなくてちゃんと観光をし、モナコに行った証拠を友達に見せよう」というシェリルの提案で、カジノとその前にある庭園をバックに記念撮影をする。建物はクラシカルでむしろ劇場のような印象。言われなければカジノとはわからないだろう。玄関のすぐそばに行くといかにも高そうな黒い車が並んでいる。なるほどね。 シェリルは王宮とカジノへ行ってしまえばそれでモナコの目的が果たされたらしい。「あなたの行きたい所に行くわ」と言うが、もともとモナコに行く予定がなかったので何も考えていない。行く場所はよりどりみどりなのでガイドブックを見て選んでもいいのだが、あまり時間もないし…と思っているうちにカジノの横にカフェがあるのが目についた。そのバックに海が見える。ちょうどおなかも空いているし、「海の見えるカフェ」でお茶するぞ! しかしこのカフェはメニューはほとんどが飲み物、しかもカクテル系だった。「ソフトドリンクと食べる物あります?」ときくとウェイターは笑いを隠せない様子。他の席を見てみるとビールを前にゆったりと新聞や本を読んでいていかにも「時間にたっぷり余裕があるバカンスに来たんだよ」というラフな格好をしているが金持ちそうな人ばかり。はっきり言って私達はかなり浮いている。ひょっとしてこのカフェはカジノ直営か?帝国ホテルのロビーでサンドイッチを頼んだようなものか(^^;)。別方向にある普通のカフェに行けばよかったかな。まあいいや、何も変なことはしていない。 日差しが結構きつくてセーターを着ていると暑くて冷たい飲み物がほしいくらい。少し寝るつもりだったのだが、目の前の海を見ているとそれどころではない。 夕方までここにいたらものすごく綺麗な夕日が見られるだろうなあ… 楽園とはこういう所を言うのかもしれない。 そしてボーっとしているとハトがやってくる。鳥もここに住んでいたら楽だろう…ってちょっと待て、シェリルあなたここでパンをちぎってハトにエサをやるか!?気持ちはわかるが、TPOってもの考えてよ。彼女私以上の鳥好きだ(^^;) モナコきっての名所、カジノのそばとあってその周りにはいかにも高級そうなホテルが多い。当然ショーウィンドーにディスプレイしてあるのはブランド物。しかしブランド物には珍しく「あ、これいいなあ」と思わせるものもあってウィンドウショッピングが楽しめた。金持ちは金持ち、一般人は一般人それぞれそれなりに楽しめる所らしい。 カジノから王宮へ戻ってそこからバス乗り換えか…と考えていたら、王宮を経由せずに直接ニースへ戻れるバスの停留場をシェリルが見つけていた。行きとは違う会社のバスなので値段をチェックしたいのだが表示がややこしい。英語のネイティブスピーカーでなさそうな人達が「バス代いくら?」と私に訊いてくる。私に訊かないでよ(笑)シェリルが見てもわからないらしい。金髪碧眼のシェリル、モンゴロイドの私、色黒で東南アジア系?の彼らが一つのバス停留場を見て首をひねっている。何やらおもしろい光景。 バスの中でスケートの話をしている人がいた。「半日モナコへ遊びに行って夕方から女子フリーを見る」という考えはみな同じということか(笑)。しかし男子が早めに終わっていてくれてよかった。もし最後にあったらとても観光はできない。女子シングルのファンの方は大変だ。 ニースの街並みを見て思い出したのだが今日はエキシビの公開練習があったのだ。まあ女子が決まっていないから全体練習はないだろうけど、エルビスの事だから何かして見学の人間を笑わせていたに違いない。トベルがいない今回は誰と遊んでいたんだろう?その様子を見ないのはもったいなかった気もするが、モナコに行っておいてよかった。 バスは4時前にニースのターミナルに着く。女子フリーにはバッチリの時間、Siyinちゃん今行くわ〜♪(←何か違う) 追記:この日のエキシビの公開練習でエルビスがベルナディスさんとスロージャンプの練習をしていたと後日聞きました。ベルナディスさんケガ上がりでそんな、パートナーよりはるかに重い人を…(^^;)いや大丈夫じゃなきゃやらないだろうけど。でも想像するだにおもしろい光景。見逃したのはちょっともったいなかったかもしれない…いやでもやっぱりモナコに行っておいてよかった(笑)。 |