学校選びの落とし穴


子供を現地校に通わせることだけは決定していて、とりあえずアメリカに来て学校のことを調べ、学校の決定によって家の場所を決めるという場合が意外と多いのではないかと思いますが、学校を選ぶ際、念頭に置いておくべき点をあげておきましょう。

子供が学校に通うという行動面では同じであっても、子供が日本の学校に通って学習活動をするのとアメリカの学校に通って学習活動を始めるのとでは全く活動内容が異なりますし、学級の先生側から見た一生徒としての立場もアメリカに来た途端に“言語的マイノリティの生徒”という看板を背負っていかなければならなくなります。つまり、現地校に移った時点で、学校内では、学習面から見ると、アメリカ人の平均的生徒とは別の教え方、学習内容、および、評価の仕方を必要とする特別な存在に変わってしまうわけです。そして、アメリカはまだまだバイリンガルに対する理解と評価に関しては、たとえば、カナダやインドなど2ヶ国語(以上)を公用語とする国や、日本や韓国、ヨーロッパなど外国語学習や交流を重視しているような国に比べたら発展途上の段階であり、学校側は、バイリンガルであろうとなかろうととにかく英語ができなければ話にならないというスタンスをとるところがいまだに多いです。そのため、第一言語を、そして、第一言語で学んできたものを維持しようとする家庭や子供の意志・興味が薄れやすくなってしまうということになり、特にバイリンガル家庭の少ない地域の学校などに通う場合は、必ずしも子供の現地校での生活経験がポジティブになるとは限りません。

イリノイ州では、学校のレポートカード(成績表)として、各学校の実施される州の学力試験の結果(学年・教科ごとの平均点)を発表しており、それによって各学校のランク付けなどがわかるのですが、これを学校選びに参考にすることはお勧めできません。というのも、こうした州で実施される学力試験は、まず英語そのものを学習しなければならない子供にとってよい学校、よい教育をしているとは必ずしも言えないからです。むしろ、成績のよい学校の方が例外的な子供にどう接したらよいのかわからない先生が多いかもしれません。それから、学習内容が全国統一されている日本とは違って、アメリカの学校は学習内容や進度など学校によってかなり差があり、学力試験の結果がよい学校というのは、低学年でも進みがはやく宿題が多い傾向があるため、ESLの生徒が同じクラスで他のアメリカ人の生徒と同じようにやっていくのが困難なだけではなく、家庭での学習サポートももちろん大変になり、進度のはやさからアメリカ人の生徒との差が余計に広まったりするなど、現地校での経験において達成感よりも劣等感が強くなる恐れも大いにあります。劣等感など精神面の問題は私達が思っている以上に学習面に大きな影響を与えるので、注意しなければなりません。

親として、現地校に子供を通わせることを決心したら、学校内での生徒としての子供の立場自体が変わるのですから、日本にいた時と同じ尺度…たとえば、学校のランクやテストの点数など…で教育を考えるのではなく、子供個人にとってどういったポジティブな面があるのかという発想の転換が必要になります。ランキングによってアメリカの現地校比べをしたところで、ランキングのベースはずっと英語で生活してきたアメリカ人の生徒であって、日本から来た英語学習者を対象としたものではありません。子供が既に中学校・高校レベルでアメリカに来なくてはならず、将来アメリカの大学に進んで欲しいと願っている場合でも、大学進学率がよいからという理由だけで学校選びをしないで下さい。自分の子供がアメリカの学校内ではマイノリティになること、アメリカ人ではないこと、アメリカの義務教育ではまだまだバイリンガルに対する理解と評価が遅れていることを忘れないで下さい。

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10/05, 2/08 rev
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