子供の言語や学習発達がちょっと心配…
おすすめ図書室


子供の言語発達が心配だけれどどうやってサポートしたらよいのかわからず、日本語の資料を探そうとインターネットで調べたものの、本の題名からはどうも専門家向けのようだし、題名からだけでは内容がよくわからない、しかし、アメリカにいるため日本の大きな本屋や図書館に足を運ぶこともできない…という声を聞き、規模は小さいながらも図書室プロジェクトを始めることにしました。本当に、実際に本を開いてみないと目的にあっているのかどうか、役に立つ内容かどうか等、確認できませんよね。購入して読んだら全く自分の子供のケースにあてはまらず役に立たなかったという話もよく耳にします。ここでは実践的でご家庭に役立ちそうなもの、そして、私が実際目を通した日本語の本だけを選んでご紹介。機会があるごとに少しずつ紹介する本の冊数も増やしていきたいと思っております。日本から取り寄せになりそうなので、注文するかどうか決めるために見てみたい、役に立ちそうな情報があればメモをしておきたい、注文したけれど家に届くまでに随分待たなければならないのでそれまでに読み始めたい等、興味のある米国在住の方には郵送貸し出し致しますので、Eメールでご連絡を。【1度に2冊まで。貸し出し期間は原則として2週間。返却する際の郵送料を含む手続きはご家庭側にてお願い致します。シカゴ近郊にお住まいの方は私のオフィス(Roselle、又は、Bloomingdale)にて本の受け取り・返却もOK。】

  は現在貸し出されているため少々お待ちいただく必要がある本。



言語発達・スキル関連

1・2・3歳 ことばの遅い子―ことばを育てる暮らしのヒント
著者:中川信子
出版社:ぶどう社
ISBN:4-89240-142-0
定価:本体1000円

日本の言語聴覚士である中川信子さんが非常にわかりやすく子供が話ができるようになるまでの過程や話ができるようになるために必要な力や生活環境などを解説した上で、実際のことばの発達に関する相談をQ&A方式で紹介しながら実用的なアドバイスをされています。質問の例としては、「1つずつの音は言えるのですが、ことばになるとはっきりしなくなってしまいます。」「ことばが遅いので、せめてテレビから覚えてくれないかとつけておいたら、大好きになって、テレビやビデオを一日中見ています。たまには消そうと思って、スイッチを切ると怒ります。結局、食事のときもテレビがついているありさまです。」「意味のあることばはまだ、ママ、パパ、ワンワンとかなんですが、バーカ!フン!ウンチ!とかの悪いことばはすぐに覚えてしまいます。お兄ちゃんが使ってるのを見て覚えるようなんです。どうして悪いことばばかり覚えるんでしょう。」「“話しかけてあげなさい”って言われますが、“話しかける”って、どういうふうにしたらいいのか、わかりません。」など。それから、障害があるかもしれない要注意のサインとその際どうしたらよいのかという簡単な説明のセクション、親子であそぶ例、参考になる本のリストなども含まれています。題名の通り、発達のばらつきが特に大きい3歳ぐらいまでの幼児のことばの発達において、親としてどういう気持ちの持ち方をしたらよいのか、どうやってことばの発達を促したらよいのかというのがこの本のメインテーマです。言語面だけでなく乳幼児期に大切な全般的な発達が言語の成長にも影響している点を指摘しているところが信頼できる内容だと思いました。1999年、全96ページ。

Q&A きこえとことばの相談室―50の質問とアドバイス
著者:キャサリン L. マーティン/訳:長谷川靖英
出版社:協同医書出版社
ISBN:4-7639-3040-0
定価:本体2000円
アメリカの言語療法士Katherine L. Martinが書いた“Does My Child Have a Speech Problem?”(1997年出版)という本を日本語訳したもの。きこえとことばに関する50の質問が5つのグループ(しゃべり方のなめらかさの問題、発音の問題、聴覚情報の処理の問題、言葉の発達の問題、声の問題)に分けられており、全ての質問に答えのみならず「親はどうすればいいの?」という家庭でのサポートの仕方に関する的確で丁寧なアドバイスも含めた非常に実用的な内容です。その他、生まれてから5歳までのことばの理解と表現の発達ガイド(何ヶ月頃にどんなことをし始めるというような指標)も含まれています。訳本ですから対象はもちろん英語の発達についてになりますが、訳者の長谷川靖英さんが日本で言語聴覚士であることもあり、日本語での例も訳注として紹介されています。本に掲載されている50の質問のリストはこちら。2005年、全169ページ。

うちの子、ことばが遅いのかな…
編集:言の葉通信
出版社:ぶどう社
ISBN:4-89240-143-9
定価:本体1500円
『言の葉通信』という言葉の遅い子を育てる親のためのフォローアップサークルに寄せられたお母さん達の気持ちや悩みを本にまとめたものですが、健診で言葉の発達が遅いと言われてから子供にどういう成長が見られたか、健診後の対応はどうしたか、保育園や幼稚園でどんな経験をしたのかなど、経験者の体験談から学んだり参考にできることも多く、各章の終わりには先輩お母さんからの気持ちの持ち方におけるちょっとしたアドバイスもついています。「お誕生から三歳まで」「三歳児健診の頃」「幼稚園や保育園で」「療育も受けながら」「小学校に上がったら」「母親の気持ち」「わが子とともに、『言の葉通信』とともに」の7章構成。『言の葉通信』を始めた方は海外駐在経験者ですが、本(投稿)の内容は日本におけるものなので、日本の幼児健診、サポートシステムについて知ることができます。アメリカで言語発達の心配を指摘され、子供の教育を考えて子供の就学前に日本への帰国も選択として考えておられる方など、参考に目を通してみるのもよいかもしれません。2002年、全151ページ。

親子で育てる「じぶん表現力」
著者:JAMネットワーク
出版社:主婦の友社
ISBN:4-07-234850-3
定価:本体1300円
この本はアメリカで子供達を現地校に通わせた経験のあるメンバーがその経験をもとにどうやったら子供達の言語表現力を伸ばすことができるのかを考え、わかりやすく実用的にまとめたものであり、親子のコミュニケーションの質を考える点もしっかりおさえてあります。度胸力、論理力、理解力、応答力、語彙力、説得力、プレゼン力の7セクションからなり、すぐに応用できる実行例が満載されています。特に皆さんにおすすめしたい理由は、子供が現地校経験者という方達からの視点で書かれているため、現地校での生活に必要なスキルが強調されており、アメリカ在住者・現地校で生活する子供達にとって非常に有用性が高い点です。2002年、全190ページ。

心をことばにのせて―子どもとのいい関係とことばの育ち
著者:中川信子
出版社:ぶどう社
ISBN:4-89240-091-2
定価:本体1408円
日本の言語聴覚士である中川信子さんのどちらかと言えばエッセイ風の育児書といった感じの本。特定の質問や疑問を持った人には少々わかりづらいかもしれませんが、普段の子供との接し方が子供のためになっているのか、子供とよりよい関係を築くにはどうしたらよいのか等、幼児期の子供との関係を自分なりに見直してみたいという方にはどういうところを見直したらよいのかが押さえてあるのでよいと思います。1990年、全131ページ。

ことばをはぐくむ―発達に遅れのある子どもたちのために
著者:中川信子
出版社:ぶどう社
ISBN:4-89240-058-0
定価:本体1408円
日本の言語聴覚士である中川信子さんが幼児の言語発達を促すのに必要なメカニズムや環境、子育て方法などいろんな面からわかりやすく解説されています。具体的にことばかけはどういう風にしたらよいかという説明から始まり、発音の発達を家庭で促す活動例、そして、普通アメリカでは作業療法の範疇に入る感覚統合の話なども含まれており、言語面だけでなく総括的に子供の発達のこと、後の理解力を伸ばすための基礎作りをも考えさせられる内容なので、発達の遅れの有無にかかわらず、乳幼児を持つ方達全てに是非お勧めしたい本です。1986年、全134ページ。

障害児のためのコミュニケーション指導1:ことばのストレッチ体操―発音・発語編
編者:ことばのストレッチ研究会
出版社:明治図書
ISBN:4-18-608520-X
定価:本体2000円
大阪教育大学教育学部附属養護学校内の言語聴覚士と養護学校教諭からなる研究会が発語訓練キャンプで取り組んでいる発音・発語の指導についてまとめたもので、子供のことばの遅れが気になるお母さん方や初めてことばの指導に取り組もうとしている先生方と言語聴覚士を対象に書かれています。第1章はことばの発達や障害についての解説が少々専門的だったり、他の章もどちらかというと訓練キャンプの成果報告という感じでちょっと読みづらいのですが、第1章の中の21〜24ページにある生活の有り様における注意点や第2章全般で触れているコミュニケーション方法を獲得するのに準備されなければならない基本的な力についてなどわかりやすく見逃せないセクションもあります。でも、なんと言っても家庭でも取り入れられる日本語発音指導の実際(130〜154ページ)がこの本の家庭向けセールスポイントではないでしょうか。指導内容に目を通すと、正しい発音するのには息や呼吸のコントロール、口の形や動きなど、いろんな要素が関わっていることにあらためて驚かされます。発語訓練キャンプは中〜重度の発達障害を持ち極度に発音・発語に問題のある子供達が対象なので、本の内容もそういったケースに沿って書かれているのですが、小学校中学年ぐらいになっても特定の発音がはっきりせず何を言っているのかわかりづらいという子供達にも十分使える発音指導内容だと思います。2004年、全164ページ。


感覚発達関連

自閉症とその関連症候群の子どもたち―学級・セラピーの現場でできること
著者:Johanna M. Anderson/訳:小越千代子
出版社:協同医書出版社
ISBN:4-7639-4007-4
定価:本体2000円

自閉症やその関連症候群を持つ子供達によく見られる感覚統合問題(=敏感過ぎたり、鈍感過ぎたりして自分に入ってくる刺激を感覚として上手く処理できない症状で、英語でsensory motor issuesやsensory issuesなどと呼ばれる)に学校や家庭でできるだけ効果的に対応する方法や活動が紹介されています。アメリカの作業療法士Johanna M. Andersonが教師や親を念頭に書いた“Sensory Motor Issues in Autism”(1998年出版)をアメリカの公立学校で働いている日本人の作業療法士である小越千代子さんが日本語訳した本ですので、お子さんが現地校で作業療法のサービスを受けている場合、学校での作業療法の内容を理解したり、いかに家庭でもサポートを続けられるかを考え、実行するのに役に立つと思います。日本語の文体が専門書的である上、内容のほとんどが実践アイディアで感覚統合についての説明が乏しいため、感覚統合問題についてまだよく知らない方が読むと何故こういった活動が必要なのか、各活動によってどういったことが改善されるのかなど、疑問に思うかもしれません。感覚統合そのものについては、むしろ、上記の中川信子さんが『ことばをはぐくむ―発達に遅れのある子どもたちのために』の中でされている説明の方がわかりやすいでしょう。2004年、全90ページ。


ストレス・精神面関連

「うつ」をやめれば、楽になる:やっかいな心の荷物をおろしなさい
著者:Frank Minirth, Paul Meier/訳:水澤都加佐
出版社:PHP研究所
ISBN:4-569-62410-3
定価:本体1450円

子供がストレスにうまく対処できずに引きこもりがちになった時だけではなく、親自身が異文化環境で落ち込み気味の時に読んでみるとよい本。クリスチャンの視点からの解釈が含まれているので、部分的に違和感を多少感じることもあると思われますが、うつの正体、うつの原因、うつの克服という3つの章から、子供や自分自身の状態を客観的に見直すフレームワークとして役立つと思います。また、なんの不安も感じていない場合でも、親子のやりとりを見直したり、うつ予防、問題解決スキルを育てるために目を通しておくこともお勧めしておきたい本。2002年、全206ページ。

子どもの心の病気がわかる本
監修:市川宏伸
出版社:講談社
ISBN:4-06-259340-8
定価:本体1200円
子供がストレスにうまく対処できずにもがき苦しんでいる場合、親がどう対処したらよいのかをメインテーマとした本で、日本で精神科医をされている市川宏伸さんによって監修された本。内容は乳幼児から中学生ぐらいまでの子供についてが対象で、解説にイラストやチャートがふんだんに使われて見やすくとっつきやすいデザインになっています。内容は、子どもの心のトラブルサイン、子どもの心は発育途中、対応がうまくいかないとき、心のお医者さんにかかるとき、子どもの心の病気と障害のいろいろの5章に分けられており、トラブルサインのセクションでは障害の可能性もあげられているのですが、例えば、発達障害といった心の病気ではない障害も取り上げられているのでちょっと誤解や混乱をまねくかもしれません。取り上げられているトラブルサインと対応問題はこちら。2004年、全98ページ。

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