ESLプログラムの落とし穴〔5〕


ESLプログラム終了時期について、〔4〕のセクションや他のセクションで述べたことと重なることが多くなると思いますが、幼児期から現地校に通い始める子供達のケースの後に出てくる学習問題が割合的に多いようなので、家庭での言語が日本語でプリスクールや幼稚園から現地校に通わせる場合に念頭に置いておいていただきたいことをまとめておきますね。

幼児期から現地校に入った場合に、公立学校ではおそらくどこでもESLのサービスを並行して提供すると思うのですが、ESLのサービス開始時の年齢が低ければ低いほど、サービスの長さが1年以内に終了してしまうなど、短くなる場合が少なくありません。そして、ESLのサービスが一度終了すると、後に学習問題が出てきた場合にESLの必要性を考えもしない学校が多く、スタッフ側も《英語はできるけど学習ができない》ため、ESLの代わりにリーディングサポートプログラムなど別のプログラムがオファーされるというパターンがおそらくほとんどでしょう。しかし、1年生に上がる前にESLサービスが終わるというのは英語が他の子供達に追いついたというわけではありません。幼稚園ぐらいまででしたら、言葉の使用範囲はもちろん、活動内容もかなり限られていますから、多少英語がわからなくても観察力があり勘のよい子供でしたら周りを見て真似をするなどしてほとんど助けがなくても問題なく幼稚園生活を送れてしまうのです。そして、学習面でも期待されるのは質疑応答自体よりもまだ基礎知識の増加の時期ですから、例えば、絵を見て名前を言うというような記憶力が発達していれば問題視されません。と、考えると、1〜2年でまぁ他の子供達と遊ぶのに必要な英語は話せるようになったとした場合、幼稚園の終わりぐらいには会話もできるし学習発達も問題ないと判断されてもおかしくないわけです。ESLの子供達だけでなく、他の子供達でも、幼稚園ぐらいから2年生の初めぐらいまでに心理検査や学力検査をされて、問題がないと判断され、数年後に、いややっぱりどうも学習に問題があると再度検査の話が戻ってくるケース、ひどい場合は中学生になってからやっと再検査の話が出てくるといったケースも少なくないのですが、これは幼稚園前後で期待される活動のレベル、および、子供の発達のばらつきが大きい時期のため多少の発達の遅れだと判断しづらいという事実にも関係しており、私から見ると‘大きな落とし穴期間’と言っても過言ではありません。検査の依頼数が増えてくるのは意味のある文字を読んだり書いたりし始めると同時に抽象概念がもっと必要になってくる3年生前後からで、こういった学習発達は子供がいかに英語を話せるかということとは関係ありません。実際、ある研究の結果報告でも、バイリンガルの子供の英語のスピーキング力はその後の子供の学習発達を予想する要素に入れられないということが言われていました。ですから、幼稚園時代のスピーキングだけで判断されてESLのサービスが打ち切られるというのは、例えば、文法や語彙などを一般学級の授業よりも丁寧に反復して教えてもらったり、宿題のレベルを調節してもらえるサービスを受けられる子供に比べて、サポートが少なくなるわけですから、その後の学習発達に不利になっても当然なのです。幼稚園時代の活動や行動具合からは判断しづらいと思いますが、家庭で日本語だけで生活していれば、もちろん子供が知っている英語の語彙量も表現数もアメリカ人の子供達に比べて少ないのは当然なわけで、学校で全くサポートなく小学校のカリキュラムをアメリカ人の子供達と同様にこなすというのは、子供本人にとっても、サポートをしなければならない親にとっても大変になります。また、ESLを終了したからと安心しきって親が何もサポートをしないということになれば、子供の学習発達は他の子供達に比べてますます遅れていくでしょう。もし、ESLのサービスが幼児期のスピーキング力によって尚早に打ち切られた場合、ESLの読み書きのサポートはどういう風にされるのか確認しておき、宿題をこなすのに親が毎回宿題のやり方を日本語で説明する必要があったり、子供が自分でやった答えをチェックしてもどうも的はずれな答えが多いと思った場合など、ESLの先生に相談しサービスの再開ができないかどうか問い合わせてみて下さい。宿題をこなすにおいて親(の日本語による説明)に頼ることが多いというのはESLの問題がまだ続いているというサインですから、親がESLの先生の仕事を引き受けるのではなく、きちんとESLの問題を学校側に把握してもらい、便宜をはかってもらうべきでしょう。

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06/06
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