「世界選手権騒動記録10」 |
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10(3月31日(金)) 女子ショート 朝6時と7時に目は覚めたが寝直し、本格的に起きたのが10時50分。げっ、ホテルの朝ごはん食べ損ねた。 会場へ向かうついでに朝(昼)ごはんを買おうということで、すっかり御用達となったスーパーへ行く。シェリルは初めて入るこのスーパー、山積みになった果物を見て「バナナ大好きなのー♪」とはしゃぐ彼女に買い方を教えてあげる。私はリンゴが大好きだ。 書きそびれていたが、二日目に初めてこのスーパーでリンゴを買った時にそのままかごに入れてレジへ持って行くと、レジのお姉さんにどーのこーの言われた。何かミスをしたのはわかるが、フランス語でひたすら説明されても対応のしようがない。その時は見かねたガードマンのお兄さんが対応してくれた。 どうもこのスーパーの青果物はグラム単位で値段がつけられているらしく、買う時は自分で重量を量らないといけないらしい。はかりについている各品物のボタンを押してから量ると値段が印刷されたシールが出てくるので品物にそれを貼り、レジで清算してもらうという方法。 所変われば品変わる。1個だけ買えるというのは旅行者にはありがたい。 男子が終わって女子ショートは気が抜けて空っぽになっているかと思いきや、第1グループから気が抜けない展開になった。だって中国のSiyinちゃんがいるのだ。ふふふ、もう一回Siyinちゃんの演技が見られる〜♪(←怪しい) おっとその前に。スターティングオーダーを置いているテーブル(初日にはなかったがいつのまにか設置したらしい)にメディアインフォメーションが置いてある。よかったやっと出た。これで選手の経歴がわかる。 アナウンスで聞くSiyinちゃんの名前は「シィン スン」という感じ。今日は黒の長袖の衣装なのでちょっと感じが違う(^^)。予選はいかにもというクラシック(セビリアの理髪師)、今日もいかにもというピアノ曲(リスト作曲ピアノ協奏曲第1番)だがこっちはちょっと音がとりにくい様子。予選で怪しかった3サルコー+2トゥのコンビネーション、今日はきっちりきめた。151cmと小柄だが手足は長いのかもしれない。手を広げたスピンが映える。 ちょっと――ノーミスよ―――! 第4滑走の今で1位よ―――!!! ひょっとしてフリー行けるかもしれないって事? となると俄然気合が入る。この後に滑る選手は彼女のライバルなのだから。 Shirene Human(南アフリカ) Siyinちゃんの次の滑走だった彼女は四大陸の公開練習でも見た選手。しかしフリーの曲が「My
Heart Will Go On」だったのでその時点で興醒めしてしまい、あまりちゃんと見ていなかったのだ。ショートもゆったりとした曲で、Siyinちゃんのいい雰囲気にのったようなノーミスのいい演技だった。大柄でゆっくりとした動きの彼女、ジャンプが本当に危なっかしいのだがスパイラルなど一つ一つの静止ポーズがきれい。 Siyinちゃんに持っていないものを見せつけられた気分。 フリー進出については考えないことにする。 第1グループが終わった時点のモニターを見てギョッとした。ショートで第1グループにいる選手がフリーに進むには、第2グループにいる選手が順位を落とさないと不可能なのだ。 嫌なことに気づいてしまった………(それより男子の時に気づけよ…) ダイアナ・ポスはなんと第2グループの第一滑走。しかし予選の出来を引きずることなくノーミスで本領発揮、このグループでは格が違うところを見せた。本人もガッツポーズで満足そうだが、もうちょっと点数が出てもよかったのでは。同じ第2グループでももうちょっと後で滑っていたらね。 今日はお隣さんと話をするということにならなかったので、製氷中は手持ち無沙汰になる。メディアブースの上の選手席に誰かいるかなー…いましたいました、モニターの前に本田君と田村君。そうそう、恩田美栄ちゃんの応援してもらわないと。 そして二人よりちょっと前の席にSiyinちゃんがちょこんと座っている。今日は一人かな?いつか忘れたが成江君と一緒にいる所は見たことがあるのだが。 うう、やっぱりかわいい。(←怪し過ぎる) ショートの第3グループにもなると滑っている選手のスピードが違うし、そろそろおなじみのメンバーが出てくる。その中に恩田美栄ちゃんもちゃんといる。思い切りのいい動きだが派手にコンビネーションを転んでしまった。大丈夫かな。 ポーランドのWojtalaはヴォイタラと読むのだろうか?彼女も予選とうってかわっていい演技、本領発揮といった所。 しっとりとした曲と演技できれいにできていたのにフィニッシュで手をピシッと止めてしまい、曲が終わらないうちに表情も予選で見せていた「ふふん♪」という感じに変わった。出来がよくてうれしかったのだろうが、詰めが甘い!せっかくうまくいってたのにもったいない、ちゃんと余韻を残しなさい!最後の最後まで音を大事にする表現力がつけばもうちょっと点が伸びるだろうに。そういう所で「表現力に課題を残す」と指摘されているに違いない。 おかしいな、彼女を見ているとどうもツッコミを入れてしまう。というのもこういう腕をブンブン振り回していかにも我が強そうな(オフアイスは知りません)顔つきの女子選手、結構好きなのだ。 エドモントンのスルツカヤにもこういう印象を持っていたのだから。 Anna Lundstrom(スウェーデン)の名前がコールされると同時に私の斜め前にいるグループが全力で拍手と歓声。国旗もちらほらはってある会場だが、スウェーデンの国旗はない。 残念なことに彼女の演技は出来が悪く、観客の共感を得ることができなかった。そんな中でこの4人だけでスタンディングオベーション。 応援している気持ちを表す意味のスタンディングオベーションもあるのだろう。 恩田美栄ちゃんは名前がコールされる直前までコンビネーションのチェック。山田コーチのラストの指示に「はい、はいはいはいはいはい!」という感じのうなづき方。おお、すごい気合。 そしてきめたのだ、そのコンビネーション。予選でミスし、直前のウォームアップでも思い切り転んでいる。それを本番できめてしまうなんて!ジャンプをきめるたびに調子が上がっていく。すごい、すごいわ!どちらかというとあまり感情が見えない彼女のスケートだが、この時は思いきりノッているのがよくわかった。会心の滑りだったに違いない、終わった後でガッツポーズ。こっちはスタンディングオベーション。私の周りは誰も立っていないが知ったことではない。他の人が彼女の演技をどう思おうが、私は賞賛の気持ちを表したいのだ。「立って後ろの人を邪魔している」のではなく「スタンディングオベーションしている」とわかってくれる確信があるので周りの人に気を使わなくていい。その辺はここの観客のいい所だ。 ギスメロリも予選とは別人、本領を発揮した。元から地力のある選手だが、この歓声の中で完璧な演技をしてしまうあたり、本当に強い。去年と同じショートで衣装…今度はだまされません(笑)。 さて第4グループ。田村君の姿は見えないが、本田君は同じ席に座っている。同じコーチについているジェニファーの応援があるもんね。 カナダ女子のジェニファー・ロビンソン。リンクサイドにダグコーチと奥さんのミシェルさん(キス&クライで本田君と一緒に座っている綺麗な人)が並んで立ち、その後ろの壁際に…フェレイラ君のご両親。選手の親族はここにも入れるのか。それだけではなくペアフリーでサーレ組の時にキス&クライのそばにいたらしいこの二人、冗談抜きでPTAかもしれない^^; 去年初めて見た時に「ジャンプがきまればある程度は行くだろうけど、上位陣に比べて何かが足りない」と私の中で評価が低かった彼女、今シーズンはその足りなかったものを身につけてきた。だって今シーズンのフリーを見て初めてわかったのだ。彼女がこんなに手足が長くて綺麗なことを。ショートもフリーと似たような系統。そして調子もよかった。一つ危ないジャンプはあったが持ちこたえる。本人は顔に出ないタイプのようだが、ミシェルさんの喜び方がただ事ではない。ジャンプがきまるたびに跳びあがって喜んで、最後のジャンプをきめた時には隣のダグコーチに抱きつくし。(彼は喜び方が派手な女性を仕事のパートナーに持つ運命らしい(笑))後半になるとジェニファーより完璧にミシェルさんの方に目が行っていた。すまんジェニファー^^;。 マリニナがジャンプを全部ミスしてしまった………。 あのリベルタンゴ、衣装も振付もかっこよくてすごく好きなのに…(泣) 二度目の製氷中、やはり暇つぶしに選手席の方を見る。本田君と…ジェニファー!?さっき演技が終わったばかりじゃないの?えらく戻ってくるのが早いなあ。二人で楽しそうにしゃべっている。ハイテンションのジェニファー、そりゃいい演技をしたのだから気分がいいだろう。 田村君がちょっと離れた席でぽつんと座っている(^^;)。恩田美栄ちゃんは? ショートサイド、フェンスぎりぎりの単独ジャンプと共にフラッシュが光り、ミシェルのランディングが乱れる。集団で光ったのではなく一つ。フラッシュの元は組んだやぐらの上にある通常の席ではない。何かコネがないとチケットが取れなさそうなリンクサイドの席。やろー! 係員こいつつまみ出せ、スケートを見る資格ない!! 怒りはおさまらないが、だからといってスケート観戦のマナーを知らない輩のせいで演技を見損ねてなどいられない。それでなくてもジャンプが全部すんだミシェルのショートはこれからが見せ場。曲調が変わってからがもう、今までにないくらい楽しそうなのだ。めちゃくちゃリラックスしていて、今回の選曲は趣味に走ったんじゃないかと思うくらい。ミシェルの演技に「可愛い」という形容詞をつけるのはこのショートが初めて。普段はどんな音楽を聞いているんだろう? Mikkeline Kierkgaard(デンマーク) 初出場でいきなりブティルスカヤに続いて予選A組2位になった彼女、新星誕生?予選のレポートで触れておくべき存在だったのだが、実は演技を見ても彼女の強みがわからず書けなかったのだ。 そしてショートは「いかが?私のスケート」と自信たっぷりに見せつける選手がそろう最終グループ。この中に混じるとかなり苦しいものがあったと思う。なんとか理解しようと気合を入れて見たのだが…やっぱりわからない。すみません修行します。予選はきっちりジャンプをきめていったが今回はミスしてしまった。ひょっとしたらこの「きっちり」というところに原石の魅力があるのかもしれない。シンプルなフリーからイメージを変えてショートは陽気なラテン系。動きは小さくて硬いが音を無視しているわけではない。これから「見せ方」というものを身につけていけばおもしろい存在になるのではないかと思う。 スルツカヤのショートは先シーズンの「枯葉」に続き今回もスローな曲。先シーズンはどこか無理をしている印象があったが、今シーズンはフリーのカルメンよりこっちの方が合っているかもしれないと思うのは私だけだろうか?「きれいになったなあ」という感慨より純粋に「きれい」。今シーズンに初めて彼女を知った人が昔のビデオを見たら逆の驚き方をするのかもしれない。 スタンディングオベーションをするほどいい出来の演技にも特に表情を変えないのが逆に自信を感じさせる。これは本当に獲っちゃうかも。 NHK杯で初めて見た時に「マーシャさん、あなた何か狙ってない(^^;)?」とツッコミを入れたほどハマっているブティルスカヤのこのショート。この人が「いかにも女性らしい」振付をするとぞくっとしてシャレにならない。 それに加えて完璧な出来で終わった後には先シーズンみたいな余裕の笑顔。よかった、NHK杯、予選とずっとピリピリしたものを感じていただけにホッとする。 さて勝負はどうなるか。こういうしっとりした曲はブティルスカヤの方がやっぱり一枚上手かな?最終滑走だし。でもスルツカヤもきれいだし勢いは彼女の方があるし…どっちもいいだけにワクワクする。そんな中モニターにミシェルの顔が映った。 アメリカ応援団…というか会場は盛り上がるが、私はこれで一気に気持ちが冷えた。ブティルスカヤに失礼だし、それにこれはミシェルに対してもえげつない。ライバルの点数を待っている間まで追いかけることないだろう。 ペアだって、今回三連覇がかかっていたヤグディンだって、地元フランスで今回チャンピオンの大本命のアニシナ&ペイザラだってこんな事はなかったのに。 ミシェル・クワンとはそういう存在であるらしい。 ミシェルが映し出されたモニターの前にSiyinちゃんがあいかわらず一人で座っていた。今ごろ気づいたのだがショートの衣装、去年のミシェルのショートと似ているなあ。ひょっとしてファン(笑)?あこがれの存在なのかも。 シェリルが「人いきれが嫌なので散歩したい」ということなので、少し歩くことにする。特に目的もないので行ったことのない会場から東方向へ。道路を渡ったロータリーにいきなりおいしそうなパン屋さんがある。何よ会場のこんな近くにパン屋さんあったのね!ずっとスーパーの味気ないパンを食べてたのに。今ごろ見つけても遅いんだよ……(泣)。 そしてさらに歩くともう少し大きい通り、フランスの大手スーパー、カレフール(綴り忘れました)があったりする。確かにあの小さいスーパーだけでは地元の人は生活できないだろう。小さなショッピングモールにチラシがいろいろ貼ってあってバーゲン中の模様。バカンスの地、ニースの別の面を見た気分。 しかし地図を持たずに適当に歩いていただけなので、結局ごみごみした一画を一回りしただけだった。私はそれなりに元を取ったがシェリルには気分転換にもならなかったらしい。海沿いまで行くことができればよかったのだろうが、方向を把握しようともせずナビを全て私に任せたあなたが悪い。 疲れたしそろそろ時間。さあ、次はある意味恐怖のアイスダンスフリーだ。 (9に戻る) |