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     現代文サンプル 

 

 

□■□入試現代文のツボ■□■  創刊号

 本日が第1回目の配信です。現代文を効率的に学習するための参考にしてください。

 

 まずは、次の問題をやってみてください。
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 ところが、古代から中世へと時代が移るにつれて、そのような傾向に変化があらわれるようになった。霊感重視の立場にかわって、心の働きについて求心的に考えようとする思想がしだいにつよまってきたからである。そのような思想がクライマックスに達するのが鎌倉時代であり、法然や親鸞、明恵や道元などが書いた文章のなかにそのことが生き生きと反映している。法然や親鸞のいう「深心」は信仰の実存的境位を表現したものであり、明恵の「菩提心」や道元の「身心脱落」なども、「心」の世界をいかに掘削し、そして成熟させるかという課題をめぐって提起されたテーマであった。こうして中世においては、まさに心の探求が宗教の重要課題になったのである。
 いま人間には二つのタイプがあるということをいったけれども、しかし現実にはその二つの要素を抱えこんでいるというのが真相であろう。より深層には霊的な感覚が横たわり、その表層に心的なものへの感受性が重ねられているというのが実状ではないであろうか。

 私は芸術でも宗教でも、心的なものへの 凝視と霊的なものへの感受性がほどよく調和しているとき、本当の創造性が発揮され輝きを放射するのだと思う。そのどちらかが欠けているとき、芸術も宗教もかたよったものになるのではないだろうか。
 ことがらはむろん人間においても同じである。人間のもっとも奥深いところには、自然界にするどく反応する霊的な受信器が隠されている。そしてその受信器の上に、自我とか自己とかの名で呼ばれる心的世界がいわば発信器のような光を発して鎮座している。換言すると、見知らぬ世界に敏感に反応するのが深層の受信器であるのにたいして、現実の世界にするどく応答するのが表層の発信器であるといっていいだろう。

問) 論旨の展開により、本文を二つに分けるとすれば、後の部分はどこから始まるか。その段落の最初の五文字をそのまま記入せよ。
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 さて、解けましたか。答えは後に示すとして、諸君はどのようにしてこの問題に対処しましたか。文章をていねいに読んで、どこで内容が変化するかに注目しながら、段落の切れ目を判断したのではないでしょうか。もちろん、そのやり方は決してまちがっていませんが、ていねいに全体を読んで考えるとなると、かなりの時間を使ってしまうし、難解な文章だと、内容の変化がなかなかとれないことだってあります。
 では、どうすればこのような問題に簡単に対処できるのでしょうか。まず、知っていてほしいのは、

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* 現代文(評論文)はまず語の単位で考えてみる *
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ということです。文章全体を読み、その内容をつかんで解けるのなら、国語は誰でも解ける科目になります。そのような科目は、大学入試では必要ありません。大学入試は、受験生を落とすための試験なのですから、難しいものを出題するのが常なのです。
 この問題を解くには、キーワードを探すのです。あるところからあるところまで、何回も文章に出てきている言葉、もしくは、あるところまでには出てこなかったもので、あるところを境にして、その後に何度も出てきている言葉、それがキーワードです。本文では、あるところを境にして、その後ある言葉が二つ続けて出ていることに注目してください。わかりますか。その言葉とは、「表層」と「深層」です。これらが、「いま人間には・・・」で始まる小段落から初めて出てきます。さらにその後、それらがずっと出てきてますね。そこからも、この二つの言葉がキーワードであることがわかります。ということで、「いま人間には・・・」で始まる小段落が第二段落の始めになります。どうです、簡単でしょう。こういう要領で現代文を考えてみてください。そうすることによって、多少なりともわからなかった、もしくはなんとなく解いていた現代文が見えてくると思います。

 では、もうひとつ次の問題をやってみてください。
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 B(定義を下すとは同時に自己限定をすることです。)私はこういう意味でコトバをつかっているので、べつの意味で用いれば、まちがった帰結が出てくることを認めますよ、という留保です。

問) (  )B「定義を下すとは同時に自己限定をすることです」とはどういう意味か。もっとも適当なものを次の中から選べ。
  1 定義を下すとは、とりもなおさず自分の言葉の使用範囲を限定することです
  2 定義を下すとは、とりもなおさず自分のものの見方にも限定を加えることです
  3 定義を下すとは、それによって自分の思い込みを再検討して限定することです
  4 定義を下すとは、それによって議論がかみ合うように自分を自己限定することです
  5 定義を下すとは、そのために自分の情念を論理的にする限定を加えることです
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  ここは、(  )内の語に注目してください。意味は考えないで、(  )を細切れにしてみて、それらの言葉を見てみるのです。具体的に言うと、「同時に」「自己」「「限定」「する」の語に注目してください。すると、それらは1の「とりもなおさず」「自分」「限定」「する」と対応します。よって1が答えになります。2は「加える」の対応がよくないし、3と4は「それによって」が「とりもなおさず」と対応しません。5は「そのために」が「とりもなおさず」と合わないですね。どうですか。こう考えると簡単に答えが出るでしょう。これも語の単位で考えたやり方の一つです。

 もうひとつつけ加えるならば、(  )の後の「こういう」にも注目してみてください。これが(  )の内容を受けて、その内容を後に述べています。そこには「コトバ」とあるので、この内容をもっているのは、やはり1の「言葉」しかありません。これも、指示語という語の単位から考えたことになります。

 

 本日はここまでです。来週から読解編に入ります。

 

 

 

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