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NY School for the deaf 

レポート

(写真提供 Rochester Deaf School)

2004.1.

Reporter : ノーラ・コーリ

NY School for the Deaf はニューヨークの郊外、ウェストチェスター郡に位置する。広大な敷地には幼稚園から高校まで設置されている。小学校の校長先生である Cathy さんに学校を案内してもらった。まずプレスクールといわれる幼稚園に上がる前の3才児クラスを見学した。そこでは4人の子どもに対して2人の先生がついて指導していた。子ども達は3才にしてもうすでに読みを始めているのには驚いた。先生は手を口に当てて話し、子ども達が音だけを聞いてことばを理解するようにしていた。私たちは知らぬうちに実はかなり相手の口を見てことばを理解しているのだと校長先生は指摘した。このクラスの子ども達はみんな共通してコクリア・インプラントをしていた。他のクラスでは先生がマイクを使って話していた。下の写真はプレスクールの様子だ。

(写真提供 NY School for the Deaf)

コクリア・インプラントとは?

聾唖者にとって補聴器は手放せない。いまや多種製作されている。最新技術で生まれたコクリア・インプラントは大がかりな手術によって頭蓋の中の聴神経を司る部分に、電気的に音声信号を補強する小さな人工内耳を埋め込むものだ。下の図を参考にしてほしい。このインプラントは小さいうちに入れるのが一番効果があるという。語学の習得は幼ければ幼いほどよく、まだ固まっていない、柔らかな頭脳が必要だ。大人になってから新しい言語を習得しようとしても、簡単にはいかないのと同じで、聾唖者のコクリア・インプラントの埋め込みも、幼ければ幼いほどよいとのこと。二十歳になってインプラントを埋め込んでも、ほとんど効果はないそうだ。そのため、聾唖の子を持つ親は、まだ物心もつかない子供にこの手術を施す。

          

(写真提供 Massachusetts Eye and Ear Infirmary)

 校長先生のお話は目からうろこだった。聾唖学校は聴覚障害を持つ子どものためにある学校であるが、必ずしもすべての聴覚障害児が通う学校ではないとのこと。今や移植手術も行なわれるようになり、子ども達の中にはかなり聞こえる子どももでてきたとのこと。その子ども達にとってこの学校は普通の学校へ入るための準備の学校となるそうだ。そのため、ここでは他の子ども達より進んだ授業を受けている。

手話の手の肌の色は白、黒、茶色、黄色、オレンジ、とさまざまな色であった。そして感情を表す子どもの顔の色も同じくさまざまだった。手話を習う習わないはこれまた家族の意向とのこと。これにも驚いた。

さらにこの学校を選ぶ子ども達の中には社会に出るにあたって必要な自分への自信を養うために通う子もいるということだ。子ども達にとって耳が聞こえないことは障害ではなく、個性のひとつ、文化のひとつのようなものという。だから文化を恥ずかしいと思ったりしなくてもいい。彼らには彼らだけの世界がある。それも文化。その中の人たちといっしょに過ごすことも大切。だから普通の学校へいっている子ども達もときどき聾唖学校の活動に参加するという。

英語以外のことばを両親が話している家庭の子どもはどうかと聞いたところ、それはその親の方針に沿って学校側でサポートすると伝えた。つまりその家庭で日本語を話したいという希望であれば、学校では英語と手話を教え、決して三つの言語が混乱するから日本語を家庭で話すことを禁じることはないという。あくまでも親の希望を学校側はサポートするというのだ。ここまで親の希望を尊重してくれるふところの寛容さに驚いた。

(写真提供 NY School for the Deaf)

ここにもソーシャルワーカーは働いている。彼らの仕事は子どもの将来についての意向を家族といっしょに考えていくこと。居住区のサービスを紹介すること。問題にぶつかったときに相談にのることなどだ。

 

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