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#1


 2004年、冬。東京。
 幸せそうに楽しそうに行き交う人々。都会的な湾岸の街の光景。
 だが突然遠くからクラクションが響き渡る。
 振り向く人々。一台の小型トラックが突っ込んで来る。
 トラック、人々の目前を通過する。だが、その運転席に運転手の姿は無い
 驚いて散り散りに逃げ出す人々を尻目に、車輛は一軒のファッションビルの1Fのガラスに突っ込んでいった。
 ブティックの新店舗がOPENして行列も出来ていた所だった為、周囲は騒然となる。
 停止するトラック。
 ビルの中にいた人々が悲鳴をあげながら何十人も表に出てくる。
 炎上し続けるエンジン。その荷台に「プロパン」と書かれた積載物

 爆発。

 慌てて回り出す報道カメラ。
 「本日は海外ブランドの総合モールのオープン初日という事もあり、大勢のブランドファンが殺到していました・・・ビルのスタッフや買い物客等に多数の怪我人が出ている模様です。」
 若者たちの会話。
 「突っ込んだトラックの運転手、身体がバラバラ?」
 「プロパンガスのボンベまで積んで突っ込むなんてなぁ・・・世も末だよ」

 到着する救急車数台。軽傷患者が次々と隊員により救急車へと運ばれて行く。タンカで行く人、歩いて自ら向かう人、色々。
 降り立った部隊は連絡を受けていた十数人の重症患者が既に応急処置されバンデージされている姿を見て、驚く。一般人の指差す先の植え込みBOXに、一人の青年が座っていた。
 立ち上がる青年。
 「ご協力感謝します・・・あ、あなたは?」
 「とりあえず重症患者の応急処置と縫合処置はしました。こっちの人達はモルヒネを既に打ってるので、痛がるまで余分な麻酔はしないようにして下さい。」
 「は、はぁ;」
 その場で時計を見る白衣の青年
 「あ!いっけねーッ!!じゃ!」
 振り返ってとっとと行ってしまおうとする青年。
 「な、名前教えていただけませんか?」
 「おれ?一人旅のお医者さん。」
タイトル


 単車を押しながら小さな川ぞいを歩いている白衣の木嶋。
 「こんな所でガス欠かよ・・・爆発聞いて急いで行った分ガソリン使っちゃったもんなー、あーあ・・・」
 またも時計を気にする木嶋。
 「まだ同窓会には時間があるかー・・・」
 歩いていた木嶋、ヘトヘトになりながら座り込む。空は見渡す限りの青空。
 デスヤプーを倒した木嶋針・・・=「仮面ライダーVi:」は、旅をつづける往診医になっていた。戦いの激しさは忘れようとしても忘れない傷跡だが、時間が経過するにつれその傷も癒されつつあった。
 医師として人を癒すことが、自らの癒しにつながると、木嶋はそう信じていた。
 ふっと蜂女の事を思い出してしまう木嶋。
 「元気でいるかな。アイツ・・・」
 最後の戦いの直前、木嶋がキチン0を投与した為にミツバチ女・・・「仮面ライダーVenu」は元の人間に戻った。彼女を警視庁にあずけ、自ら開発したキチンX3の力=サードフェイズでついにデスヤプーを倒す。だが、それは木嶋のDNAが二度と元に人間に戻れず、二度と人間として彼女と愛し合う事はできないという事を意味した。
 彼女の最後の「さよなら」の笑顔を思い出す木嶋。
 「今の俺に、何が出来るっていうんだよ・・・」
 彼女と一緒に暮らす自分を思っても、彼女と結婚する自分を思っても、それらは全て、過ぎた事なのだ。
 青空にかつての記憶を乗せるように、三角形の凧が上がっている。

 「あっ!」
 その記憶を打ち消すかのように青空に子供の声が響いた。
 子供の上げていた凧が一瞬手を離れてしまったのだ。
 高空に舞った凧は川の中に落ちていってしまった。
 子供はそれを見て駆け出すが河原の石につまづいてひざを怪我してしまう。
 どうしよう、という泣き顔をしている子供を見て、木嶋と子供は河の方に向かって歩いて行く
 運良く凧は10m位先に浮かんでいるままだった。水の中にザブザブ歩いていく木嶋。

 凧を拾い上げて戻る木嶋、子供に凧を渡し、
 白衣の中のペットボトルからミネラルウォーターを出して
 傷口を消毒し、ヨードチンキらしきものを塗る
 「ありがとー!お医者のおじちゃんっ!!!」
 「・・・・・・・」
 去っていく子供の笑顔。
 「・・・あーあ、ずぶ濡れじゃんっ!!白衣の中一張羅だったのに!!」
 と、下を見下ろした木嶋、水の中に一枚のカードらしきものがあるのに気づく。
 「?」
 それはクレジットカードのような、ゲーム機のメモリーカードのような、不思議なカードだった。
 表には渦を巻いているような絵が書かれてあり、下にはSEALと書かれてある。
 「何だ?クレジットカードでもないし、メモリーカード・・・どこかの会社のカードキー?」
 木嶋はつい中を覗いてみたくなった。木嶋の髪の間から二本の触覚が伸びる。
 木嶋は、改造人間体である。
 「何・・・?」
 近くの陸橋を電車が通って行く音が響く。
 「・・・透視できない・・・・・・」

 オフィス街や空き地の続く街道沿い、空き地には違法の放置車両が止めてあったりする。
 バイクを押しながら、カードを眺めつづける木嶋。
 土曜日だからか、人影はまばらである。
 「何なんだ?俺に透視できないなんて・・・とりあえずLSIチップみたいなのが埋め込まれてるってのは判ったけど、随分長いこと水の中にあったみたいだしなぁ・・・」
 カードは金属端子の部分が錆びかけていたが、本体はラミネート状の処理がされているらしく中身は無事かに思われた。
 聴診器や注射器用のアンプル、包帯などが入っている黒カバンの中にカードを放り込む木嶋。
 先にやっとスタンドが見えてきた。
「あ、やっとガソリンスタンドだよ・・・」
  が、閑散とした通りをバイクを押して歩く木嶋が道の片隅に置かれた3分間写真のBOXの前を通った一瞬後、その中から影が飛び出し、
 背後から木嶋を殴りつける。何台かバイクの違法駐車がされている鉄柵に半倒しになるバイク。
 「うぁっ!!」
 ふらつき倒れ掛かる木嶋。前を見る。
 そこにいたのは今まで見た事もない怪人・・・・・・「モンスター」だった。

 更に襲いかかるモンスター。
 避ける木嶋。木嶋のバイクとは別のバイクがモンスターのひじのマサカリで切られ、まっぷたつにされる。
 その破壊力を見た木嶋が叫ぶ。
 「変身!!」
 仮面ライダーVi:に変身する木嶋。
 モンスター、驚愕。
 挑みかかろうとするライダーに襲い掛かるモンスター。ライダーと組み討ちになる。
 その戦いのさなか、近くに放置されていた車の残骸の窓ガラス、そして路面の水溜りから角がはえ、
 あと二体の同じモンスターがVi:を襲おうとしていた。

アイキャッチ


 もう一体のモンスター、完全に姿を現し、ライダーVi:に背後からしのびよる。
 ライダーとモンスターの乱闘、続く。次々と盛大に引き倒されるバイク。
 カバンから散らばる、聴診器、アンプルや薬品類。あのカード、運転免許。
 ライダーVi:についに襲い掛かるもう一匹のモンスター。だが、その足元には医療カバンから転がり落ちた「SEAL」のカードがあった。
 怪人「グ・・・ゲゲ・・・・・・」
 カードが凄まじい共振音を上げて、発光して見える。
 Vi:「なんだ?!あのカードが反応しているのか?!」
 ついに怪人は弾き飛ばされて、近くの店舗ビルのガラスの中に消えていった。
 ライダーは一度攻撃を受けた後、すぐ体勢を建て直し、セカンドフォーム「BLUE」に変身した。
 迫るもう一匹のモンスター。腰にVi:ランサーが発生。剣を構えるVi:。
 襲い掛かるモンスター。ライダーは剣で一閃する。
 ミラーモンスターの体表面を構成する殻を砕き、そこに斬り付けた。緑の血しぶきが上がる。
 モンスター「グ・・・グォオゥ」
 ランサーから毒液が注入され、ドクドクと音がする。モンスターの身体の節々から毒液により黒々と変色した粘性の体液が噴出していく。
 ケイレンしていたモンスターが動きを止めた後、大爆発を起こす。
 だが、ライダーはその時背後の会社ビルのウインドーにもう一匹のモンスターが逃げ込むのを見る。
 Vi:「待て!!」
 ライダーはそのウインドーに頭をかばいつつ体当たりでつっこむ。
 激しく散乱するガラス。
 周囲を見回すライダー。そこにいたのは脅えてガタガタ震える、休日出勤のOLや会社員達だけだった。
 サイレン音が近づくのを聞き、ライダーVi:はそこを立ち去る。

 夕刻。同窓会会場のホテルのホール。
 既に集まっている木嶋の同窓生たち。入り口に「城空大学第62回生同窓親睦会 様」の看板
テーブルの上には色とりどりの食事が並んでいて、歓談や明るい騒ぎが続いている。
 その時一人の男の携帯が鳴る。電話を取る男。
 男「もしもし、木嶋ー?主賓が来なくてどーするんだよ。フルコース全部食っちまうぞ?!」
 女「フルコースって、オードブルじゃ・・・」
 男「いーの、いーの」
 某区。ワイドビジョンを見上げながら携帯をかけている木嶋。
 「敷山?・・・・・・いけなくなっちゃったよ」
 敷山「来ないって・・・オイ!!・・・・・・なんかあったのか?」
 その問いには答えず木嶋は尋ねる。
 木嶋「「あれ」、まだ乗れるか?」
 「あー、大学の研究室に置いてあるアレか?耐久試験も済んだし大丈夫だろ。後輩にとってもいい参考になるマシンだからな、我ながらよく修理したと・・・・・・時に、彼女とは?」
 木嶋「すまん」
 「おぃ・・・」
 木嶋は電話を切り、かけなおす。

 ワイドビジョンの映像。
 「今日昼頃、都内のビルにトラックが突っ込んだ事件ですが、ナンバーからトラックの持ち主と思われる新宿区の男性は以前にも無免許運転や飲酒運転を常習していた人物だと判りました。警察ではその男がこのトラックを運転していたと見ていますが、いまだ遺体は一部しか発見されておらず・・・」

 警視庁のある会議室。ブラインド越しに外の夕景を眺める男の後姿。
 婦警「室長、お電話です」
 電話を取る男。「はい。要です。」
 木嶋「敬羅さんお久しぶり!」
 要「オマエ!!!」
 電話で話をしつつ笑顔で笑っている要敬羅。が、要の顔が一瞬凍りつく。
 木嶋「久々なんですが、勝手に消毒班依頼しちゃって、すいません・・・・・・」

 木嶋「で、その怪人、ビルの中に逃げていったんですが、どうもこのSEAL?ってカードを狙ってるような気がして・・・デスヤプーの怪人とも思えないし。とりあえずカード、預かってもらえませんか?一応拾得物だし、俺でも透視できない位ですから・・・」
 要「木嶋、おまえ繁華街帰りの人間が最近何人も行方不明になってるの、知ってるよな?」
 木嶋「いや。俺流れだし、新聞は読まない事にしてる。」
 息を吸い込む要、一瞬に仕事の顔に戻る。
 要「とりあえずそのカードは警視庁が接収する。おまえは明日必ずそれを持って本庁科研の分室に来い。窓口には話を通しておく。俺以外にカードの話はするな。以上だ。」

 夜。
 無人のビル街をもの思いにとらわれながらバイクで走る木嶋。
 その瞬間突然共振音が響く。さっきとはケタ違いに大きいガラスをスクラッチするような狂音。
 共振しているのはまた、あのカードだ。だが、改造人間である木嶋の頭には凄まじい耳鳴りが走る。
 頭をかかえるようにして、バイクを降りる木嶋。
 木嶋「共振音?!!」

 音のする目の前にマネキン人形の飾られたショーケースがあり
 見上げる木嶋。だが、そのショーケース・・・「鏡の中」には、
 さっき取り逃がしたモンスターが浮かび上がっていた。鏡をはさんで対峙する木嶋とモンスター。
 モンスターは木嶋を見つめつづける。
 怒りに震える木嶋だがそのモンスターは一匹ではなかった。
 鏡の中、そのモンスターの背後を同型の様様な色をしたモンスターがある一方向を目指して
 何匹も何匹も通り過ぎて行く。

 ついにはモンスターも今は木嶋に関わる気はないかのように、彼らと共に飛び去っていった。
 木嶋「変身!!」
 ライダーVi:に変身する木嶋。
 Vi:「タンクホーネット!!」


 ライダーの元に疾走する無人の重装甲バイク、タンクホーネット。
 ライダーはバッグをホーネットの主砲部にかける。
 バイクを乗り捨て、目の前にやってきたホーネットに乗り、モンスターの共振音を追跡するVi:。
 Vi:「逃がさん!!」

 モンスターの共振音を追うライダーが到着したのは新都心新宿のビル繁華街だった。
 「ここは・・・」
 そこは数年前爆発事件の起こった繁華街。
 そしてその時、爆発音がひびきわたった。ホーネットを降りるVi:。
 ナイトクラブやディスコ、風俗店等の入っている一テナントビルから爆発が起こったのだ。
 見る見る内にビルは炎を吹き上げ、周囲を赤く染めていく。
 騒然とする喧騒。人々は同じ場所にライダーが来ている事に殆ど気づきもしない。
 モンスターを探そうとする木嶋。だが、またひとつのビルの1Fが爆発を起こす。
 逃げ惑う人々、火だるまになって倒れる人、泣き叫ぶ人、人。
 悲鳴、絶叫。 
 木嶋は怒り、医師として人を助けたいのをこらえ、ビルの裏手に駆け出していく。

 敵の姿を求め無人の裏通りをさまようVi:。
 表通りから小さく喧騒が、消防サイレンが聞こえてくる。
 木嶋が小さい悲鳴のような音を聞いたのは、その時だった。
 ビチャ、グチャ・・・ボキ・・・メキ・・・
 音がしているのは繁華街で一番高い12Fビルの上の方からだった。
 ジャンプするライダーVi:。だが、その一瞬にモンスターらしき共振音はプツリと消えた。
 屋上に上がったライダーVi:が周囲を見渡す。
 暗がりを歩くライダー。突如目の前に光。

 周囲を見渡すVi:の視界を助けたのは警視庁のヘリコプターライトだった。
 ライダーは目の前の光景を見て凍りつく。
 ライダーVi:がそこに見たもの、それは、
 繁華街をおとづれた人々の手首、ブレスレット指輪に飾られた風俗嬢の腕、ルーズソックスをはいた足首、サラリーマンの下半身、肉のまだついた骨等の、数十人分とも思われるバラバラに散乱した遺骸の「一部」だった。

 ライダー「u・・・ウワアアアーーーーーーーーーツ!!!!」
 ライダーVi:の悲痛な絶叫が、都会のビル街に反響し、星ひとつ見えない暗黒の夜空に消えていった。

第1話−完


 モンスター:ナノゼール登場。



 予告

 新宿ベアー「あんた、まだわかってないようだね。」

 要「つまりな?今度のあいつらは、食いさしを残してるんだよ」

 水崎「FBIから届けられた教授の書類、警視庁に持ち込まれた捜索願いは以下の通り、少女と一緒に発見されたカードケースがこれです。」

 炎の中、敵と対峙する銀色のVi:・・・・・・




この物語はフィクションです。
考えている途中でupする事もあるので、
物語ががらっと変貌する事も。ヨロシク(^^);