● 夜桜10 ●
「さて、帰るか。」
お腹も満腹、十分遊んだ。
夕飯に遅れるとクロロが厳しいからなとレオリオは言って帰る準備を始めた。
「え〜もう帰るの??」
「そうだよ、まだいいじゃん。」
まだ遊び足りないようで、苦情を言ってくる。
「何ってるんだよ、もう3時だ。帰るぞ。バトミントンは片付ける!!」
「ちえ〜…じゃ、帰りちょっと寄り道していい?」
「寄り道…?」
「5分もかからないから。なぁいいだろ、レオリオ??」
「まぁそのぐらいなら…」
5分なら門限である時間に十分間に合う。なら構わない。
レオリオは行き先も聞かずに取り合えずさっき来た道とは違う正規のルート(道は出来ているのだ)を歩き出した。
「レオリオ違う、こっち!!」
「えっ…?」
そっちは教会とは正反対の方向…ますますどこに行きたいのか判らなくなった。
歩き出して5分どうやら目的地に到着したみたいだ。
そこで俺は目を見張った。
ゴンたちが行きたいといった場所、昆虫が多いところとか、綺麗な植物が咲いている場所、絵画のような景色が見れる場所…かと思っていたが、どれも違った。
――――――――――――― 墓地だ。
しかも中央に大きいのが1つ、周りに小さいのがたくさんあった。
中央のは慰霊碑にも見えた…
「……………墓地……?」
「そう。」
悲しそうに、辛そうにだけど弱音は吐かない。
そんな顔をしている二人。ゴンとキルア。
その顔はレオリオをからかっている合間にふと見える顔だった。
「もしかして…」
「うん。俺らの親もいる。」
―――――やっぱり…
教会にいる以上、親がいないのは当然だ。
だけど理由を聞く必要もないし、失礼だと思っていたのであえて聞かなかったのだ。
自分も親はいないし。友人も失っているから…
「この村の噂…知ってる…?」
キルアが小さな声で聞いてきた。
「……『噂』…いや、全く………」
「そっか〜…」
「じゃ、教えてあげるね。レオリオなら大丈夫だと思うし…助けてあげて欲しいから…」
それは10年前に起こった出来事。
こんな小さな村だから大きくはならなかったと言う出来事。
一夜にして村人の15人が姿を消した事件。
その事件は当時は集団家出か?と思われていたのだが実際は違った。それもそのはず、その15人に共通点は全く無かったのだ。性別も違えば年齢も違う、本当にばらばらの組み合わせ。しかもどこかに行ったような形跡はないのだ。家には財布などの貴重品もあり靴もある。姿だけが無いのだ。しかし…
――――――3日後、死体となって帰って来た。
それは村の森の中央に放棄されていたのだ。山積みで。
人間の形こそ保っているが、噛み付いた痕、殴られた痕、つぶれた痕など見ていられないものばかりだった。その最初の犠牲者の中に二人の両親もいたそうだ。しかし2歳児の二人には全くわからなく知らないことだったらしい。
問題はそれで終わらなかったことらしい………
その死体の横に紙切れが一枚あった。
『緋の神を生贄に…』
最初、この紙の意味はわからなかったらしい。『緋の神』と言ってもこの村は神として何かを崇める事はしていなかったからだ。しかし事件の5日後、話は急転した。
「私が行きます…」
小さな子供が村役場に姿を現した。その子は3年前、死体が発見された森で血だらけで倒れていたのだ。一枚の紙切れを持って。その子供が自ら申し出たのだ。
(駄目だ!君が行く必要はない!!)
(でも私にしか出来ないことです。心配する親もいませんし。)
(そう言う事ではない、クラピカ!!)
(『緋の神』とは私のことです…ほら…)
そう言って見せたクラピカの目。
それはいつもは茶色だったのに、今は緋色だ。
(――――――――――――!?)
そこにいた人の全員が言葉を失った。
(というわけで私が行きます。)
これ以上犠牲者が出ないうちに……
(待ちなさい!!クラピカ!!)
(お世話になりました。それからごめんなさい、ありがとう。)
(誰か、クラピカを止めろ!!)
小さいながらに大きく足を前に出して走るクラピカ。
そのクラピカを捕まえることは難しく、クラピカを捕まえた時は森の中だった。
昼間に来るだけでも不気味な森なのに、更に不気味さを増しているような夕方に森に入ることはしなかった村の人々は恐怖のあまり声が大きくっていた。
(帰るぞ!!クラピカ!!)
(断る!!)
――――――――――――― なかなか威勢のいい子だな…
どこからともなく、声が聞こえた。
(――――――!?)
恐怖のあまりクラピカを掴んでいた手が緩んだ。この一瞬が甘かった…するりとその手から逃げてクラピカは前に出た。
(クラピカ!!)
腰が抜けているらしく動けない、村の人々。
「私が生贄だ。」
凛とした声。怯えてもいない、勇ましい声だった。
―――――――――――――――――――――――――そうか…なら調べる…
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