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● 夜桜07 ●



もう何年経つのだろうか…


何時までたっても、ここで寝起きをするのに中々慣れない。慣れようと思わないのが原因なのかもしれない。
暗い部屋、白い壁、小さい窓がひとつあるけれど、高すぎてそこから外の世界を見る事は出来ない。だからセンがここにやって来たのも私にとっては不幸としか思えない。でも嬉しかった。初めての友達だから。例え話が出来なくても…言葉は通じると思う。

………だから助けたい。



「ただいま…セン……」

と言っても返事は無い。当たり前の事だけど…だが、今日は違った。




「おかえり。」





暗闇の中から声が聞こえた。


「遅かったな、何処に行っていた…クラピカ?」

「…牧師様…………」

「違うだろ?『修道士様』だろ?まぁ、クロロと呼んでくれる方が嬉しいけど。」

くすっと笑ってこの教会の修道士でもあるクロロが言ってきた。部屋を照らすものが何一つ無い部屋では相手の顔が見えないというものは有利でもあり、不利でもあった。

「何処に行っていた…?」

「トイレだ。」

「隣のトイレには居なかったみたいだが?」

「今日は違うトイレに行って来た。悪いか?」

「悪いね。君が『運動不足になる』って言うから枷もはずして、この部屋と隣のトイレがあるこの階を自由に動けるようにしてあげたのに…何処に行っていた?」

「……………」

クロロの手がクラピカの方に向かって来た。そっとやさしく頬に触れて、そのままその手は下へ来て首を触った。


「本当は何処だっていいんだけどね。外に行った事には変わりないんだから。」

一瞬で顔が更なる恐怖が訪れるかのように強張った。

「怖がらなくてもいいんだよ、見当はつくから。」

首を触っていた手に力が入る。

「別に怒ってなんかいないよ。ただ、君には向かない世界だから行かない方がいい。でも……言う事を聞かないなら話は別だ。」

静寂だから響く声、その声は確実に自分の耳に届く。ノイズもなく。
恐怖心から下を向いていたクラピカだが、顎にかけられた手で顔を正面に向けさせられた。




「君は自由にはなれない。それはわかっているはずだ。」




10年前から。

至近距離で目を合わせて言われたセリフは、自分はこの先もこのままだと宣告されたようなもので。クロロの手から解放された時は、恐怖心のあまり自分で立ってはいられなかった。


「気分が悪いみたいだね、もう寝るといい。顔色も悪いし注射でもするか?」

「いい。」

注射されないように腕を守りながらクラピカは言った。


知っているのだ、その注射の効果を―――――――――


成分こそ詳しくは知らないが、その注射を打たれたら2〜3日意識は無い。
その間自分がどうなっているのか全く分からなくなるから、怖い。
昔は反抗する度に打たれていた。


「そうか、じゃあおやすみ。」










もし、願いが叶うなら、欲しいものがある。


光が欲しい。

たった一筋でもいい、細くてもいい、薄くてもいい、光が欲しい。





星を恋人にしなければ……………

月を恋人にしなければ……………

太陽を恋人にしなければ…………






この夢は叶わないのだろうか―――――――――――――――――――――…?

















「おはよ―――――――――――――っ、あ・な・たvv」


ドシンという重みと供に悪巧みしている声が聞こえた。

「今日は、人間ドミノする?人間レースする?落とし穴作る?それとも…」

「クロロを修道士らしく(?)坊主にする?」

「出来るか――――――――――――――――――――っ!!」

思わず大声をあげてしまった。


勢いよく起き上がったものだからレオリオのベットの上に座っていた二人はその勢いでベットの外に飛ばされた。

「起きた?レオリオ、おはよ。」

「ん?あぁ、はよ。」

「どうしたのレオリオ?元気ないね?」

「ちょっとな…………」

まさか今日は考え事していて一睡もしていませんとは言えないレオリオ。言ったら聞かれるからだ、理由を。それにこの2人はクラピカに関して、とても興味があるみたいだから……


「ふ〜ん…まあいいや。とにかく朝食の時間だから行こうぜ。」

「ああ。」










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