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● 夜桜04 ●



教会の朝は早い。

毎日朝一から学校に通っているレオリオだが、その起床時間は8時だったのだ。これは下宿を言う事もあるのかもしれないが夜型の人間には早い位なのだ。そんな事を思ったのは最初の朝だった。
あれからゴンとキルアに連れて行かれた食堂で盛大に歓迎された。たかがボランティアで来ているだけにも関わらず出される料理はどれもとてもおいしく、また飲酒厳禁の教会のはずなのにどこからとも無く出されたお酒を飲みまくり、気が付いたらもう深夜になっていた。
こんなに飲んだのは久しぶりで酔っていたレオリオは深い眠りについたのだが、5時半に起こされたのだ。これがこの教会の1日の始まりだということだ。最初は本当に辛かったレオリオだが、次第に慣れてきて1週間もしないうちに体質は夜型から昼型に変化した。
朝の廊下は人の気配が無く、床は夏にもかかわらず冷たかった。


「おはようございます、レオリオ。」

「おはよう、クロロ。」

いつの間にか親しくなった2人。最初は「さん」付けだったのだが、かたっくるしいというレオリオの要望でそのまま名前を呼ぶことになったのだ。クロロの方が年上にも関わらず…

「今日は何やればいいんだ?蒔き割りか?」

「そうですね……折角ですから図書室の整理でもして頂けませんか?ここら辺の教会の中では一番所蔵数が多いですから。きっと面白いと思いますよ?」

「図書室か〜そういや行った事無いな。」

「多分そうでしょうね…なんたってあの怪獣達は勉強をしたがらないですから。」

「そういや、昨日も大変だったぜ?折角、人が蒔き割りをやって綺麗に積んでいたのに、気が付いたらそれでドミノやっているんだから…しかも段々その蒔きの長さが長くなってきているから最後にはこの教会が壊れるかもしれないぐらいの大きな木を並べているし……一応、途中で止めたけどな。」

「それで昨日泥だらけだったのですか………?」

「まぁな。」

「ははは、すみません。」

「いいって。俺、お守り役だし?」

「あれ、ばれてました?」

「ばれるって…募集事項の中に『子供の遊び相手』って書いてある時点でこっちが本命なんだろうとってことはすぐに解ったんだよ。」

『医者の助手』は医学部の生徒を呼ぶための口実みたいなもんだろ?とレオリオは笑いながら聞いていた。レオリオの言うとおりクロロは医者の助手としてではなく遊び相手としての仕事をメインに頼んでいるのだ。
ここに来て、一度も医者の助手として自分が動いた事はないのだ。牧師にも会ったのだがその印象はとても牧師には見えないものだった。年齢も自分とさほど変わらない髪の長い男で、町に行く時はいつも1人で行くのだ。一度ついて行こうとしたのだが「君はここで待っていてくれないか?怪我人や病人が出ても町からだと一日はかかるから」と言われたのだ。

「まぁ元気が一番だから、俺の仕事は本来無い方がいいんだけどな。」

「元気すぎるのも困りますがね。」

「そうそう。例えば…………」
レオリオが言葉を止めた。するとその直後、




……… バ―――――――――――――――――――――――――ン!!!


「おはよ――――――――!レオリオ。」


その言葉と同時にドアが蹴り開けられそこから元気よく黒い塊が飛びついてきた。

「ゴン―――――――!!お前が何故、そういうドアの明け方をするんだ!?」

「キルアに習ったんだ。団長もおはようございます。」

「…おはよう。で、今度そういう開け方したら罰を与えるからな?もちろんキルアにもそう言っておきなさい。」

朝から疲れた顔になってしまったクロロ。一応、子供達の保護者役の彼はこの怪獣に振り回されているのだ。ボランティアの募集事項に「子供の遊び相手」と書いたのは彼なのかもしれない。


そんな彼が礼拝堂の方に行くのを見守りながら彼等は話し合っていた。

「おぉ、おはよ。ゴン。キルアは?」

「キルアは朝に弱いからまだ寝ているよ。」

「そっか…じゃあ、突撃でひっそり起こしに行くか…」

「面白そうだから行く♪」

「OK。じゃあ行くぞ。」

いつの間にかレオリオも子供のようになってしまっていた。



朝食後。

あの後キルアを起こしに行ったのだが、部屋に入ったのまでは良かったのだが、寝顔を見てやろうとした瞬間に技をかけられて右腕を捻挫に近い状態までもっていかれかけた。(もちろんゴンに助けてもらったのだが…)キルアはゴンから聞く以上に低血圧で朝は機嫌が悪かった。それなのにその力はとてつもなく強力だったのだ。

(ったく…こんなんじゃあ身がもたねぇよ……)

早くもギブアップか?そんなことを思いながらレオリオは目的地に足を運んでいた。

目的地は図書室。
元々、本を読むことが嫌いではなくむしろ好きなほうだったレオリオは、ここに来た時にまずこの図書室に来たかったのだ。だがあの怪獣達に捕まって今まで一度も来た事が無かったのだ。
本当は一度行こうとしたのだが2人がいつもそばにいたので来る事が出来なかったのだ。連れてきても良かったのだが1人で静かに読むのが好きなレオリオは、あのふたりが静かでいることは不可能だと思って来る事を躊躇っていたのだ。うるさくては集中できず本が読めないのだ。



(今は1人。なら行くのは今だ!!)

朝食後、いつもは食べ終わるとすぐにくるはずの二人が来なかったのだ。そして姿もさっきから見えないのだ。それをチャンスだと思ってレオリオは図書室の前まで来ていた。


図書室のドアは非常に大きかった。そのドアを押し開けて中に入るとそこには上から下まで本が本棚に収まっていた。広さは教会のどの部屋よりも大きく見える。そして本はざっとだけど、それでも数万冊はあるように見える。本当は図書館管理を専任でやっている人がいるらしいのだが、今は本を集めに都会に言っているとこの事だ。しかも大層気まぐれらしく、何時帰ってくるかわからないらしいのだ。
一通りその図書室を見回ったあと、レオリオは仕事である本の整理に執りかかった。
図書室の奥の机にどっさり本が積んであったので、分類賭けをしてから元の位置に片付け始めた。そうする事でこの図書室の本の内容がバラエティ富んでいることがわかった。歴史漫画から始まり政治の本、工学系の本、文学小説、料理の本と全ジャンルんじゃないのかなと思わせるぐらいだった。
もちろん医学書もあり、レオリオは仕事もそこそこに奥の机でその本を読んでしまっていた。





(…やっぱりピエトロの病気を簡単に完治させる方法って無いのかな……)

医者になろうと思った理由はこれだ。友人の死。

近くにいたのに

助けてやるって言ったのに

親友だったのに

―――――――――助ける事が出来なかった、死。

助からない病気ならいざ知らず、助かるはずだったのに死んでしまったのだ。


原因は手術代を含む治療代。
彼の両親、俺を含めた親友が集めに集めた額でも手術はおろか、まともな治療も出来なかったのだ。
大変な病気になればなるほどそれに比例して治療費も高くなるのだ。


「あと10年遅かったら簡単に、しかも安く治療が出来たのにな。」


彼の死を見守った病院の医師は最後にそう言った。


―――10年?そんなに待てるかよ!!世界中にはコイツみたいに金が無くてまともな治療も受けられず にその人生を閉じてしまった奴もいるんだぞ!?

―――こんな奴には任せられねぇ!!俺がやってやる!!


そう思ったらあとは簡単だった。その日のうちに本屋に向かい受験コーナーの本で必要なものを片っ端から買っていた。
そして軌跡とも言われたが念願の医学部のある大学に受かったのだ。
医大生となったレオリオはこうして医学書を見つけるたびに、彼の病気をもっと簡単に治す方法がないか調べているのだ。それでもその方法は中々見つからない………








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