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Low Whistles










この一番長いのがロゥ・ウィスル (写真のはOverton) です。 アルトリコーダーよりはるかに長い。
赤いヘッドがついているのはクレア。 廉価版とはいえその甘さには身が溶ける思いで、お気に入りの一本。
たった8ドルで最”甘”のソプラノDを入手できたことに感謝しています。 
 ・・・脱線しました。 ま、ソプラノDの2倍はある、ということを強調したいですね。 長く、そして重い。
音も勿論低く、機種によっては尺八のような、渋く、潰れたような音を発します。




Low D ウィスルについて

現在確認されているロゥDの日本語情報では、EMPさんがおそらく最も信頼のおける
サイトを運営されていると思われます。 僕はまだここで買い物をしたことはない
のですが、民族楽器好きのココロを非常に巧くくすぐるサイトでおすすめです。

寸法に関わらず、個体により違いが出てしまうのは確かでなので、ソプラノ管の
レヴューにしろロゥ管のレヴューにしろ、僕が書くものは絶対的ではないので、
その点に留意してください。

ロゥ・ウィスルから始めたいと思う方も少なからずいらっしゃるみたいで、
そんな方の為にこんなページも用意しました。 ぜひご覧ください。

さて一口にロゥといっても、どんなメーカーが存在するのでしょうか。 
ではそれぞれ・・・とみなさんも期待されていたかもしれませんが、あえて
僕が実際に吹いてみたものだけに限定してレヴューをしていきたいんですね。
何か新しいロゥ管を入手することが確定した場合、そのつどアップしていく予定です。




ロゥウィスルの簡単な歴史について見てみましょう。
極力怪しい表現を避けつつ、ロゥDマスターを目指す人 には必須のバイブル、"The Low Whistle Book" から引用・
翻訳したいと思います。


"Whistry"



 ロゥウィスルが広まることになった広めた張本人 は、まず Davy Spillane 自身だといって間違いありません。
彼はジャズ・R&Bを新旧のアイリッシュ音楽とかけあわせ、アルバム Moving Hearts でそのスタイルを
確立しました。

 ロゥ・ウィスルは独特の音色を持ったウィスルで、この音色はどのジャンルでも活かされる可能性を持っています。
楽器のなかでも特に哀愁を喚起するもののひとつで、スロー・エアーを演奏するのに適しているといえましょう。
ロゥDで演奏された最初のソロは、おそらく Finbar Furey による The Lonesome Boatman という曲であり、
有名なものとしてはリヴァーダンスが挙げられます。

Finbar Furey 氏はかつてインディアン・バンブー・フラジオレットを使用していました(ピッチはAbです)。
彼によるとそれは「ガム、テープそれに他の色んなもんにまみれた、おっかない楽器」だったとのことですが、
それでも彼は素晴らしい演奏を聴かせてくれました。

70年代初頭、Finbar はギタリストの弟 Eddie と一緒に、Midland 地方のクラブで演奏していました。 聴衆の中には
Bernard Overton がおり、後ほど彼らは少し会話を交わしたのですが、Bernard が不思議に思ったのは
「なぜリコーダーのように、ソプラノやアルト、テナーやバスというふうに仲間わけされていないのか」という事でした。

バーナード・オーヴァートン氏の言葉で

 「1971年に、Finbar と Eddie が Coventry で演奏するのを聴いたんです。 イリアンパイプスとバンブーウィスル
の音は驚きでした。 彼はAbでスローエアーを演奏したのでしたが、それは彼自身が作曲した The Lonesome Boatman
でした。・・・そのうちロゥDを作ってくれないかと頼まれ、私はそれを”テナーDフラジオレット”と呼んだの
ですが、今ではみんなロゥDと呼んでいますね。 彼がそのロゥDをツアーで使うようになってから、私のもとに、
アイルランド、スコットランド、ヨーロッパやアメリカからも製作依頼が来たんです。」(Hanigan & Ledsam, 2000)




現在ではもう、15以上のメーカーがロゥDを製作しています。 その一つ一つを出来れば解説したいのですが、
ここでは僕が実際に購入したものからレヴューしていきたいと思います。 





Overton Low D



まず、吹き口からして違います。



ソプラノ管よりも横に長いのは当然かもしれませんが、何しろものすごくウィンドウェイが狭い! 
両端に極細の溝があり、ウィンドウェイの終わりは斜めに削られていて、ここからさしずめ
下水道のごとく(失礼)唾を管体に逃がすつくりになっているんです。


こちらはチューニングスライド。 インビルトなので、手触りもいい感じです。 昔はOvertonも製作されていた
Phil Hardy氏 (Chieftainのメーカーさんです)による "Kerry Pro" は、チューブが外側にあるのでそれも圧巻。
一見 Overton そっくりなのですが、現在はもう制作されていないそうです。 ルナサでも使用されたのに、残念。




家に着いたときは「ついに」という感じで有頂天。 踊り狂いました。 頼んでから届くまでの時間はもう大変
でしたけどね。 このメーカーのウィスルをはじめて入手する人はとくに鬱に入るようで、僕もしっかり沈んでいました。
ですが待った甲斐はありましたね。 Copeland が「Flutey, flute-like」だとよくもてはやされる
ウィスル界ですが、それはそのウィスルの個性。 オーヴァートンの「独特の泣き」は、オーヴァートンでしか
味わうことができません。 Overton 万歳。 そのすすり泣くような哀愁、激動の紅涙ともいうべき幽玄。 
大往生間違いなし(?)の音がここにあります。
僕はこのマイスターが作るウィスルに莫大な投資(自分なりに)をし、これからもするであろう事を
一切後悔していません。 巡り合えてよかった、と思える音、それがオーヴァートン。
確かに Busman も粋です。 Elfsong もスウィ〜トです。 ですが Overton は Overton。 惚れ込み過ぎが調度よいのです。

「欠点だ」とされるクセ −− 吹くポイントを探す必要がある ーー は確かにあります。
ですがそれはこの無二のウィスルの個性。  愛するということは、欠点を見つめてあげることです。
どうしても吹きにくいなら自分でウィンドウェイを細工したり*、コリンに送れば直してくれますしね。
それでも、オーヴァートンというウィスルに憤りを感じてしまう人がいるのも確か。 それはその人の好みであって、
僕は他人の好みを善悪で判断するようなことは出来るだけしたくありません。 一本のウィスルを愛する上で大切
なのは、吹いてみて、その音が自分にとって好ましいかどうか、そして長年付き合った上で結果的にどう思い入れがあるか、この二点です。
誰も、他人が自分のウィスルのメーカーに対して、キライだの悪いだのと、何も知らないくせに御託を並べるのを
気持ちのいいことだとは思わないでしょう。
「何だそのヒョロヒョロな音」「高いだけのウィスルじゃん」「なんだその見てくれ」と嘲笑するバカは、そう、
放っておけばよいのです。 彼らの多くはウィスルを全く知らない、もしくは意外にも自身が High-End ウィスルの
収集家であるにも拘らず、自分は「欠点ある存在なのに愛されている存在だ」ということを知りたくない連中なのです。
僕はウィスルを購入していく上で、その音の個性を発見し、そのウィスルと付き合っていく努力をしています。

他人の「最高」という評価は自分の「最高」ではありません。 また、「最高のウィスルなんてない」というのも事実です。 

かなり脱線しましたが、僕の情熱をぶつけてみました。(汗)

注意していただきたいのは、僕がすすめているウィスルを実際に購入してみて、これを読むあなたが大嫌いな音だと感じる
可能性もあるということです。 しつこいようですが、徹底的にネット・CDをあらって、自分が買おうとしている
ウィスルは「一応」「こんな風に」聴こえる、という参考までにとどめてください。 その音を研究してください。
出来ることならまず誰かに試し吹きさせてもらってください。 購入予定はそれからです。



* 注意。 オーヴァートンの改造ですが、金属加工の知識が無い人は絶対にやめてください。 
どうしてもという人は、メアさんのサイトを参照にされることをお薦めします。


音色
「潰れた」音のロゥ・ウィスルという感じですね。 尺八のような breathy さもありますし、フルートのような丸さ
が、独特のエッジにとってかわっているようでもある。 僕はこの「独特の泣き」が大好きで、もうバカ惚れですね。
音量はやや大きめ。 お堂や礼拝堂等、また巨大建造物の中での孤独な叫びにぴったりでしょう。  

外観
ウィンドウェイから先にかけてくびれている、何ともスマートなカタチ。 これはもはやオーヴァートンウィスルの象徴
とも呼んでもいいかもしれません。 このカタチに惚れてオーヴァートンウィスルを購入された人もいます。
細いウィンドウェイ、即ち吹きやすい口が嬉しいですね。 アルミニウムの仕上げもかなりなめらかです。
トーンホールは丸みを帯びた仕上がりなので、滑らかなタッチを好む人にはおすすめではないでしょうか。
コリンに頼めば、ホールにエッジを効かせてもらうことも可能だと思います。

吹きやすさ
ポンと吹けばストレートに音が出るわけではありません。 自分なりに、音がでるポイント
を探していく必要があります。 抵抗が多きめなので、吹き込まなければ鳴りにくいのですが、逆にその分「泣きの」
表現がしやすいというクセもあります。 指に音が伝わってくるのがわかり、音への感情移入もしやすいです。
これは hard-blow ということもあり、ハイA・Bでは結構多めの息と、保持・躍動のための圧力を必要とします。

反応
やや低血圧。 ビシッとキメるには管体が温まっている必要があります。 ウォームアップが済めばあとは良好。
2オクターヴ間の移動も、こちらが言うとおりに動いてくれるようになります。 ただ、「朝寝坊」な一本ですね。
とはいえ息に対する抵抗が大きいこともあり、様々な表現に耐えうる管です。 サックスだとセルマーでしょうか。
ボトムD・Eははっきりとした音で芯もありますが、高音になると吹き込みが必要でもあり、音が大きめになります。

メーカ・取扱店
まず Overton ソプラノ管紹介ページを参考にしてください。
僕はたまたま取扱店に自分のサイズに合う一本があったから購入できたのですが、数としては
まだまだ少ないほうで、大抵どの店でも数ヶ月は待たされてしまいます。 無難な入手方法としては、まず
OVERTON のサイトからコリンに連絡することをおすすめします。 ショップから買うにしろ、コリンから買うにしろ、
最低限 "easy-blow / hard-blow, short-stretch / long-stretch" かを選択し、確認・注文してください。
easy-blow は吹きやすく、hard-blow はそれなりに圧力が必要になります。 short-stretch (reach) は手の小さい
人が選ぶべきもので、手が大きい人は long-stretch を選んだほうが演奏しやすいという場合もあるようです。
巨漢でければ僕は short をおすすめしますが・・(笑)




Cillian O'Briain Low D


キリアン・オブライエンと呼びます。 パディ・キーナンも使用したメーカーですが、彼はプロのパイプスメーカー
なんですね。 West Kerry Gaeltacht という地にて、もう10年以上もお仕事をしておられます。 ご自身すでに 
Devenish とレコーディングをこなされた事もあるツワモノ。
パディのCD「The Long Grazing Acre」収録の "Jutland" を聴いて初めて「ウィスルっぽいロゥも
あるんだ」と知って非常に感銘を受けた事、パイパー製作のロゥ管だという事、
そして見てくれがゴツゴツしてて野性的(?)という事を評価して購入しました。  

台形の斜辺をやや曲げた感じのウィンドウェイ。



トーンホールの配置をオーヴァートンと比較してみました。 上がキリアンです。 BAGは大差ないのですが、
F#とEが広めなんです。 はじめは少し慣れが必要でした。



O'Briain (オ・ブライエン氏)による彫刻があります。 



音色
ウィスルの音がするロゥ管、という感じですね。 ウィンドウェイが広くブレードも鈍角なせいもあるのか、音自体が
「音が低いウィスル」という感じで、オーヴァートン にみられる”潰れ”、そして”吐息っぽさ”はありません。
そういう意味で、Overton とは対極的なロゥウィスルと言う事ができるかもしれませんね。
音量は小さめ。 特に1オクターヴ目は、セッションの形態によってはかき消される可能性もあるかもしれません。

外観
オーヴァートンと違い、かなりドスが効いたグレイメタルです。 仕上げもサテン・フィニッシュといいましょうか、
カスれ気味なのが逆に凄味を出しています。 

吹きやすさ
普通に息を入れると3オクターヴまで余裕に発音できてしまいます。 ただあまりにも音が出易いので、ボトムDやE
を吹くにあたっては注意が必要ですね(Overton に比べ、ひっくり返ってしまいやすいんです)。
吹きやすい、すなわち簡単に吹けるという幻想を抱いてしまったのですが、これはつまり「抵抗がない」、
言い換えれば、「素直に吹かないと表現がしにくい」というクセかもしれません。 息の制御がかなり重要です。

反応
大変いいですね。 トーンホールがクリスピー(鋭角)なので、ミストーンも少なく、指が迷うこともあまりないので、
こまかな指の動きにもついてきてくれるという感じがします。 2オクターヴ間の移動も比較的楽です。
ただボトムDとEがひっくり返りやすい傾向があります。  

  メーカ・取扱店

Shanna Quay で取り扱っていますが、もともとのメーカーであるオブライエン氏にも連絡をとってもらえるみたいです。


Susato



ファンの間ではおなじみ、スザートです。



あれ!? と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、ハイ、改造しました。 もともとのカタチがあまり好きでは
なく、デカい吹き口にフルート(?)のアンブシュアをあてがって発音するのが嫌だったのもあり、相当いじったんです。
結果はまぁまぁでしょうか。 もっとやすりがけせなあかんかな・・・

音色
プラスチックだと侮ってはいけませんよ。 吹きようによっては甘みをもったオルガンの高音の様な音にもなります。
Chiff がほとんど感じられない、ピュアな音ですね。
音量も大きめなので、屋外・セッション向けでしょう。

外観
これは僕の好みなのでどうしようもないのですが、買った当初は「・・・」と思ったものです。 幸運なことに家に機材
があったので、勢いに任せて削ってしまったわけですね。

吹きやすさ
抵抗がある程度あって、表現はすごくしやすいです。息もそれほど大量に必要としていません。 ただ、Eのトーン
ホールが他のロゥよりもはるかに巨大です。
冗談抜きにバカでかく、小指の先が第一間接まで入ります。 こ、これでは絶望もしたくなる・・・(昔の僕か?)
指の細い人にはあまりおすすめではないように思えます。
反応
良好。 速い指の動きにもある程度ついてきてくれます。  何よりも暖めなくてもすぐ吹ける、というのが魅力かな。
2オクターヴ間の移動は簡単。 音のバランスも取れていて、ボトムD・E、A・Bともに保持はしやすいですね。

  メーカ・取扱店
僕はこのウィスル(もちろん改造前です)を、イチバシ楽器さんで入手しました。



- Reference -
Hannigan. Steafan, & Ledsam. David, "Whistory", The Low Whistle Book Ch 8, pp.96-97
(Leichester, U.K; Sin E Publications, 2000)