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コミュニケーションをテーマにすると、話がどんどん深くなる。三原市の主婦佐藤ちひろさん(26)の電子メールも深く考えさせてくれる内容だった。
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佐藤さんがこんなことをいうのは、カウンセリングの中で自分自身への気付きがあったからだ。
人格形成不全と診断され、自殺未遂も三度。その原因をたどってみると、母に行き着いた。不機嫌な顔におびえて「ママの喜ぶことをしよう」と心に誓ったのが四歳の時。無意識のうちに「母の奴隷」になった。
母の不機嫌は、病弱な父のために自分のキャリアを犠牲にしたことにある。それを、子供を支配することで穴埋めしようとしていたのだ。しかし娘が母のために頑張ると、今度は娘に嫉妬(しっと)する母…。
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「私のパニックはそこからきていました。秘められた母への憎しみが原因と分かったとき、本当の自分の気持ちと出会いました。つらくて泣きそうになりながら自分の気持ちをつかんだ時に『何だ、そうだったのか』と自分がいとおしくなりました」
そして夫に向きあったら、不満ばかりぶつけていた自分が恥ずかしくなった。「こんないいとこがあるじゃないの」と夫がいとしくなった。
「刃(やいば)を向けていながら『優しくしてくれない』と言ってもだめ。なぜ気付かないうちに刃を向けていたか、その刃は本来だれに向けられるべきなのか。それを分かるのが先決です」
あらためて佐藤さんに電話をした。
「本当の自分自身と出会った人が、本当の言葉で語ってこそ、相手の胸に届くと思います。もちろんわが家でもけんかはしますが、心掛けているのはそういうことです。それが夫婦のコミュニケーションではないでしょうか」
修羅場をくぐったとは思えない明るい声だった。宗教的な境地さえ連想させる。しかしコミュニケーションを探っていくと、ここまで行き着いてしまうのではないかと感じている。
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佐藤さんのカウンセラーだった岩月謙司香川大助教授の「家族の中の孤独」は、親から受け入れられなかったがゆえに相手に心を開くことができず、コミュニケーションがとれない多くの例を引いて、「苦しくても自分を見つめることの大切さ」を説く。
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