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犯人と被害者の心的相互依存症について
犯人と被害者

「監禁、人質、誘拐」そして「家庭内暴力」。これらの犯罪の共通点は、犯人(暴力をふるう人)と被害者が接触する時間が長いということです。たとえ犯人であっても彼等は人間ですから、当然、被害者との人間的なコミュニケーションが行われます。
そして被害者も、「犯人に気に入られて、とにかく生きたい」、「ひとりで怖がっているよりも、犯人と会話していた方が気が休まる」などの理由から、犯人と積極的にコミュニケーションをとるようになります。

人として、コミュニケーションをするのは当たり前のことですが、これが「特殊な場」で行われると、普通では考えられない現象がおきます。犯人が被害者に恋をしてしまったり、被害者が犯人をかばったり、被害者が犯人と結婚してしまったり、B級官能映画もびっくりの結果となるのです。周りの人は、このような状況を受けて大混乱します。「犯罪者に恋するなんて、気が違ったにちがいない」、と被害者はキチガイ扱いされてもっと悲惨な状況へと追い込まれてゆくのです。

しかし、これは「監禁、人質、誘拐、家庭内暴力」などの事件では、当たり前におこる現象です。それらの犯人と被害者の相互依存症を、ここで説明してゆきます。
心的相互依存症は、このようにして起こる
ステージ 1-敵対関係
犯罪発生直後、被害者は何が起こったか全く分かりません。少しずつ状況を把握するにつれ、「自分は誘拐された、監禁された、人質となった」という事実が見えてくるようになります。恐怖感に支配された被害者は、助かることだけを祈ります。この時点ではまだ、被害者にとって、犯人は「悪い人達」であり、警察や政府機関など、自分を救助してくれそうな人々は「自分の味方」となります。
ステージ 2 -コミュニケーション、分かち合い
監禁などの状況が長引くにつれ、被害者も犯人も日常性を取り戻して行きます。まるで共同生活のように、日々の日課がお互いに確立されてくるのです。被害者は「犯人に気に入られたい」という気持ちから、犯人は「被害者のことを知りたい」という気持ちから、お互いが少しずつコミュニケーションをとるようになります。
ステージ 3 -トラウマボンドの発生
お互いを知るにつれ、連帯感、親密感がわいてきます。犯人が敵とするものが被害者にも敵と思えるようになり、お互いが、異常な状況下を生き抜いた「同士」のような気分になってしまいます。犯人は被害者に連帯感をもち、被害者は犯人に同情や連帯感を持つようになるのです。これが、トラウマボンドと呼ばれる「犯人と被害者の固い絆」の発生です。
心的相互依存症についての説明
ストックホルム症候群
被害者が、犯人に必要以上の親近感、連帯感、同情、好意などをもってしまうことを指します。 1973年にスウェーデンのストックホルムで起きた、「銀行での人質立てこもり事件」から、名付けられました。
リマ症候群
犯人が人質に感化され、人質に対する態度が和らぎ、人質を理解しようとする態度に出ることを指します。 1997年に世界中を衝撃におとしいれた、「ペルー・リマの日本大使公邸人質事件」から名付けられました。
心的相互依存症への対応
警察、救助関連者へのアドバイス
警察やカウンセラーなど、犯罪に少しでも関わる人々へのアドバイスです。ストックホルム症候群になり、逆に警察から起訴されることになってしまったAimeeの体験も。

「犯人と被害者の心的相互依存症」については、まだまだ分かっていることが少ない、というのが事実です。現に、「リマ症候群」などは、ほんの最近発見された症候群です。

しかし、実際の犯罪の現場では、長い間、心的相互依存症が確認されていました。例えば、「パティー・ハースト事件」などは、ストックホルム症候群の一例として、世界中の注目を集めたのです。 ただ現在では、この事件も「特殊なケース」として闇に葬られているのではないでしょうか?ハース事件は映画や本になり大ヒットしましたが、人々は「とてもそのようなことが、日常で起こりえるとは思えなかった」のでしょう。

ストックホルム症候群や、リマ症候群は、決してテレビドラマや映画、小説の中のストーリーではありません。誰でも、誘拐などの被害者になった時点で、このような症状を体験してしまうのです。そして、それは生存の為の手段でもあるのです。

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