Site hosted by Angelfire.com: Build your free website today!

環境省へのパブリックコメント

「平成14年度の環境政策の企画立案に向けて」のパブリックコメント

 近年、人間活動の範囲が大幅に広がることにより、人間活動が環境に与える影響は非常に大きいものとなっている。以上のような流れを受けて、平成13年1月に環境庁が環境省へ再編されたことは、環境に対する国の働きかけに対する役割が増大したことを示している。以上のような視点から、環境省による環境政策は非常に重要であると考える。ここでは、平成14年度の環境政策の企画立案に向けて、必要と思われる施策についての意見を述べる。

 公表された「平成14年度の環境政策の企画立案に向けて」は政策の企画立案の方向性を決定するものであるが、現在の案に加え、以下の3点を考慮すべきである。

・環境影響評価制度に基づき各事業のアセスメントを行う際、環境省が実施の主体となるべきである。
・生活排水対策については、選択肢を下水道および合併浄化槽の整備の二つだけに絞るべきではない。新技術にも目を向けるべきである。
・環境パートナーシップの推進に関しては、環境省と他の省との連携を重視すべきである。

 最初の項目は、環境影響評価制度に関するものである。平成11年6月に施行された環境影響評価法は、土地の形状の変更、工作物の新設等の事業を行う際に、環境配慮を組み込むことを目的としている。この法律ではアセスメントの方法を決定し、ついで実施・結果の確定を行う主体が事業者と定められている。ここで、環境省がアセスメントの主体となることで、近年頻発している公共工事をめぐる衝突を回避する役割を果たすことができる。

 アセスメントは、中立で客観的な立場からそれぞれの事業について、環境に対する評価を行うことが要求される。事業者は、事業の計画を立て、実際に事業を行う。事業計画はさまざまな主体の価値観と複雑に関係しながらできあがっているため、計画立案後に事業の中止や大幅な変更を行うことは難しい。その結果、事業者は、自らの計画した事業がアセスメントの結果によって、計画の中止や大幅な変更をしなければならなくなる事態を避けようとする。つまりアセスメントを行う前から、事業の実施を前提としているということである。このことは、事業者がアセスメントを行う主体として適当でないことを示している。

 そこで、環境省がアセスメントの主体となることが要求される。平成13年1月に環境庁から環境省になったことにより、事業の主体が他の省である場合でも、環境省がアセスメントの主体となることが実現可能になった。このことは、平成14年度の方向性として進められるであろう、戦略的環境アセスメント(SEA)を実現する際にも、考慮すべき事柄である。

 二つ目の項目は、生活排水対策に関するものである。平成13年4月より、水環境への負荷が大きい単独浄化槽の新設原則禁止の措置については、今後効果が期待できる。今後は、下水道および合併浄化槽の整備による生活排水対策に取り組む方針のようであるが、選択肢をこの二つのみに絞るべきではない。新技術にも目を向けるべきである。

 近年、複数の企業からバイオトイレと名付けられた、環境配慮型の屎尿処理装置の開発が進められている。バイオトイレでは、おがくずや杉チップを用いることで、屎尿を環境に対して無害である堆肥や土壌改良材に変換することができる。バイオトイレは、そのままでは環境に対して負荷となる屎尿を、無害化し自然の中へ戻す働きを担っている。以上の機能は、バイオトイレが循環型社会の形成という理念に沿う屎尿処理装置であることを示している。

 今後の生活排水対策においては、従来の施策に加え、バイオトイレのような新技術にも目を向けるべきである。また、そのような技術に対する評価、推進体制の確立をすべきである。

 最後の項目は、環境パートナーシップに関するものである。持続可能な社会を創造していくためには、複数の主体が環境保全のための共通の目標に向かって協力し合うパートナーシップが形成されることが不可欠である。NGO・NPOとの積極的な連携やタウンミーティングを通して国民と行政の関わりの機会が増していることは、今後推進すべきことである。加えて、環境省と環境行政に関わる他省庁との連携も重視すべきである。  環境行政に関わる業務は複数の省庁にまたがることが多い。業務が複数の省庁にまたがるということは、その業務が社会システム全体に関わるような大きな問題であることを示している。そのような業務に対して一つの省庁が担当すると、広く国民全体の利益を満たすことはできない。

 具体的には、水質問題では厚生労働省と、リサイクルでは経済産業省と、農耕地や山の環境保全では農林水産省と、河川環境問題では国土交通省と、それぞれ連携する必要がある。環境省と各省庁とのパートナーシップが形成されれば、それぞれの業務に対して環境への配慮を組み込むことができる。