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その先にある混沌

 「今、最も面白い話題は?」と聞かれたら、なんと答えればいいのだろうか。この質問に対する答えには、その人の世界観みたいなものがダイレクトに現れるような気がする。特にまだ若い人たちにとっては今後の人生を決定する際、最も重要な要素になるに違いない。
 ではこの問いに対する自分の答えはどうかというと、迷わずに『宇宙』『生命』『コンピューター』の3つをあげることができる。
 『宇宙』は単に宇宙論のことをいっているのではなく、惑星科学、地球科学などを含んだ広い意味での宇宙である。最近では火星からきた隕石に生命の痕跡が見つかったというNASAの発表もあったり、地質学や古生物学、分子生物学などが結びついて地球の生命について論じている。また木星探査機ガリレオの報告によると、木星の衛星の一つであるエウロパはその表面が氷で覆われており、その下には水があるのではないかと言われている。当たり前であるが、生命にとって、水は絶対必要不可欠なものである。その論理の逆転で、水があるとすぐ生命の存在の可能性が指摘される傾向がある。NASAはエウロパオービター計画によりもっと詳しくエウロパについて研究しようとしている。他にも土星探査機カッシーニは、土星の衛星タイタンにホイヘンスという観測プローブを投下する予定である。タイタンの大気成分はアミノ酸合成可能な組成であるとみられており、当然生命探査的な目的を含んでいる。そういう意味では次に示す『生命』と結びついていく。
 『生命』は脳、分子生物学、また生態学とでもいうような広い意味での生命である。以前哲学で論じられていた問題を科学が扱うようになったと言われるほど、進歩の著しい分野といえるのではないだろうか。最近伸びてきた分子生物学は、個々の事柄を現象ではなく化学的なものに還元する方向を向いている。また多くの研究者が、進化論について研究している事実もある。生態学などは環境問題などから地球科学との関連性を持っている。
 『コンピューター』は3つのうちで唯一人間の手によって生みだされたものである。ここでいう『コンピューター』は人工知能、ロボットなどを含んでいるとみなす。人工知能・ロボットなどは人間の機能をコンピューターを用いて実現しようとするものである。当然人間の脳の研究などと結びついていく。コンピューターは今まで全くなかったものが生み出される可能性を秘めているので非常に魅力的である。しかし『宇宙』『生命』と比べると無機的なつまらなさみたいなものを含んでいるような気がする。
 しかし『宇宙』『生命』などは絶対に答えのでない領域である。徹底した複雑系であり、そもそも最終的なものなどないのかもしれない。そういう意味では、いずれも哲学の領域から抜け出すのはそう簡単なことではないだろう。行き着く先は単なる混沌なのかもしれない。