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●節約のウソ

以前私の知っている会社で、「2枚以上のコピーは紙の両面を使う」というところがありました。一見節約をしているように見えるこの会社は、果たして経費節約をしているのでしょうか。

私の試算は以下の通りです。

A4の紙は1枚0.5円しますので、コピーを2枚取るのに紙の両面を使えば0.5円の節約になります。仮に年収500万円の社員であれば、人件費は1日2万円。実働8時間として1時間2,500円。その人が0.5円の節約のために使える時間はたった0.7秒です。

もし紙の入れ換えにそれ以上かかったとすれば、それは節約どころか人件費のムダ遣いをしていることになります。


●人件費の節約

企業における最大のコストは人件費です。いくら経費の節約をしても社員が中身の濃い仕事をしなければ、ムダの多い会社となってしまいます。

今、企業で最も重要な経営課題は「どうすれば社員が本気で仕事をするかを考え、そのための環境を作ること」ではないでしょうか。GEもサウスウエスト航空も、ソニーもホンダもそのことを第一に考え成長してきました。

社員の意欲が利益を生み出します。そのために必要な環境を作るのが人事戦略です。変に聞こえるかもしれませんが、本来人事とは利益を出すために行うものなのです。

一人ひとりの給与を見直し、実力と比べ少なすぎる人を上げ、多すぎる人を下げるだけでも、社内がグッと引き締まり生産性が上がります。そして結果として総人件費が下がることも珍しいことではありません。ムダな給与や不合理が社内の活力を失わせているのです。

前述の両面コピーをしていた会社は、発想を変え燃える集団をつくり、業績を大幅に改善することに成功しました。他にも同じような発想の転換をして売上を前年の1.5倍、営業利益を2倍にした会社があります。

ほとんどの人は自分が意欲的になることを望んでいます。そのために必要な環境を作ることが人事戦略なのです。特に20代、30代の社員は、環境の与え方一つでやる気が倍増し、生産性が2倍にも3倍にもはね上がることがあります。

そしてオーナー経営者が一人でパワフルに引っ張っていく機関車型から、それぞれの車両が動力をもって前進する新幹線型に少しずつでも変わっていくことがこれから必要とされています。


●頑張る文化

よくアメとムチという言葉を聞きます。これは、1人の社員に対してこまめにアメとムチの両方を使うということではありません。

例えば上位20%の社員には最良の環境(アメの環境)を、下位10%の社員には最も厳しい環境(ムチの環境)を与えると、自然と「アメの領域」を目指して頑張る動きが生まれます。これは、アメがおいしいから、ムチが痛いからといった単純なことを始点とはしながらも、徐々に自分の存在価値を高めようという意識が芽生えてくるプロセスでもあるのです。

また、その会社での「優秀な人」の定義を明確にすることで、合う人と合わない人がはっきりし、よりよい方向に自然淘汰されます。やるなら本気でやる、やらないなら辞める、という価値観が、企業と働く側の両方にとって良い結果を生み出します。

こうした流れが、「頑張る文化」を生み、高い生産性を実現する力になります。極めてシンプルですが、大相撲の昇降ルールやプロ将棋の順位戦などは、まさにこのシステムによって維持されています。実力主義を標榜する世界では、自然とこの形に収斂されていくのかも知れません。

こういう仕組みを作ると意外に早く「頑張る文化」が生まれ、業績が上がるというのが私の実感です。口を酸っぱくして言い続けることも大切ですが、頑張らざるを得ない環境(進んで頑張る環境)を作ることが何より重要なのです。


●攻めと守り

モチベーションが攻めの人事戦略とすれば、守りの人事戦略もあります。

情報漏洩、競合会社への転職、引き抜き等、今の企業を取り巻くトラブルの種は尽きませんが、実は就業規則や社内規定を作り直すことで風土を改善し、多くのリクスを回避することができます。

しかし、このような攻めと守りの人事戦略は、専門性や経験を要するためなかなか手を付けられず、結局は人事上の弱点を抱えたまま戦うことを余儀なくされている企業が多いのです。

こういう状況は打破しなければいけません。成長性の高い企業は例外なくユニークで納得性の高い人事戦略を取り入れています。