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続コイン・アセンブリに夢中

Sunday, July 4, 2004

懸案の、カードがいつも一番上に浮き上がってくるというアンビシャス・カードだが、図書館で本を読み漁り、遂に解明してしまった。私の行った図書館ではなぜか多くの本が貸し出し中で、数冊の児童書しか残っていなかったが、それでもそれなりに楽しめた。その中には ShowTime で種明かしをしていたマジックもあった。こうマジックのトリックの調査をしていると、簡単なマジックだと段々タネが分かってきてしまうものである。それもまた一興。

こうなると、私も隠し芸でマジックの一つも披露したくなってくる。しかし不安なのは、タネを仕込んでおかなければならないマジックである。例えばコップの中からどんどん色々な物が出てくるマジックでは、無から有は生じないわけで、当然あらかじめコップの中に物を詰め込んでおかなければならない。そういう場合に、マジックを見終わった人に、「コップの中はどうなってるの」などと調べられ、タネを発見されると、かなり恰好悪い。そこで私が考える一般人向けの理想のマジックは、仕掛けを必要としないマジックである。加えて見た目も美しいマジックを「完璧なマジック」と呼ぼう。コイン・アセンブリも、アンビシャス・カードも、共に「完璧なマジック」である。一切の仕掛けなしに、演者の技術だけでトリックを構成している。

コイン・アセンブリで必要とするものはトランプ(何のカードでもよいがトランプ位がやり易い)とコイン(4 種類別々でもかまわないが大きいコインになるとちょっとやりづらい)と定番のマジック・シート(じゅうたんほどの弾力があれば何のシートでもよい)で、いずれも何の仕掛けもないものばかりである。なおトランプを使う場合は横にした方がやり易い。

アンビシャス・カードも同様で、トランプ(大きさが揃っていれば何のカードでもよいが、摩擦係数から考えるとおそらくトランプがやり易いだろう)と、必要ならば印を付けるサイン・ペン程度で、これらも何の仕掛けもない。

以上のマジック、タネ明かしはしないが、みなさんも独自に原理(完璧なマジックの場合は、トリックとかタネというより原理と呼んだ方が好ましいほど優れている)を解明して練習し、皆をあっと驚かせよう。

子供向けマジック本の中で、取り上げられているマジックにはあまり興味が持てなかったが、コラムが面白いものがあった。勝田房治『シリーズ・友だちできるかな 5 手品師になろう』(草土文化)である。手品で友達を作ろうとは実に涙ぐましい。このシリーズには他に『つながりあそび てとてとてと 手をつなぐと、そのあたたかみが伝わってくるね。からだをふれあい、心をふれあうつながりあそびで、みんな仲よく。』『探検・道草あそび 探検って聞いただけで心がわくわくするね。家のまわりの探検からはじまり、あそびの範囲をぐっと広げるついせきゲーム。』などがある。無名で小さく社会的影響力も弱いが良心が伝わってくる出版社である。さてコラムを以下に引用しよう。

楽しい手品をするために
※失敗してもタネあかしをしないこと。よく「タネがみえた」とか「あの手品知ってるよ」などといわれるとタネをあかしてしまう人がいるが、そういう人にかぎって手品を知らない人なのだ。タネあかしをしてしまう人は手品の落第生だ。
マジックのタネ明かし本を書いているあなた自身はどうなのか。しかしこれが実は後のコラムに効いてくるのである。
学者犬のはなし
 みんなは学者犬って知っているかな。犬が文字を読んだり、算数をやったりするやつだ。最近テレビや動物園のアトラクションなどでよくみかける。犬の手品師だ。
 だが、君たち手品師だったらだまされてはいけない。犬に文字を読んだり計算したりできるはずがないのだ。
 いったいぜんたい、なんで犬が数字なんかわかるのだろう。手品師はやはり人間なのだ。
 人が犬にあるサインを送ると、犬がその場所の数字なり、文字なりをくわえてきたり、ほえたりするので、こういうことが訓練によって可能になる。
 この犬と人とのサインであるが、犬のもっている性質を利用しながら他人にはわからないようによく研究し、きびしい練習をくり返して、はじめてみんながびっくりするような現象が起こるのである。
 サインの方法や訓練のしかたなどは、手品のタネと同様、絶対に秘密である。簡単にわかってしまったら、不思議でも、おもしろくもなくなってしまうからだ。
以前家族で水族館に行き、オタリアか何かのショウを見ていた時、「思いがけないアクシデント」があって、それに見事に対応していたオタリアに家族は驚き、「おお、凄い凄い」と大喜びしていたところ、私は横でボソッと「動物にアド・リブができる訳がない。全部仕込まれている」と言ったら、「あ、ああ、そうだな」と家族は一気に冷めてしまったことがあった。すいません、こんな性格で。次は…来たよ、来たよ、私の大好きな話が!
超能力のトリック
 超能力、心霊現象は、手品をやっている者は信じない。もしそのようにみえたら、それは手品であるからだ。
 だいぶ前になるが、ユリゲラーという超能力者がアメリカから日本にやってきた。念力でスプーンを曲げたり、折ったり、テレビを通じて時計をとめたり、マスコミでは、ホントウ? ウソ? などとさわぎたてたが、けっきょくは日本の手品師たちによって、トリックであることが証明されてしまった。
 いまでは、ときどき、子どもたちがスプーン曲げをやるていどになってしまった。
 フィリピンから手による手術で病気や痛みをとる超能力者がやってきた。これもテレビで手術の実況を放映したり、患者がフィリピンに治療ツアーにでかけたりしたが、最後はトリックとわかって大さわぎになってしまった。
 このことと、心理作用がからだや心に与える種々の現象はまったく別のことなのだ。催眠術や精神医学は科学的に立証できることはいうまでもないので、念のため。
そうでしょう、そうでしょう!マジックのタネ明かし、超能力のトリック解明、プロレスの芝居など、業界ぐるみで決して口にしてはいけない本音の世界がこの世にはある。近場では小泉純一郎「自衛隊員が何百人死のうと俺はかまわねえ」神崎武法「100 年先の年金なんか俺はもうこの世にいないんで知るかよ」もそうである。さらにコラムは痛快に続く。
催眠術で大切なのは
 あなたは、死んでいる人と生きている人と、どちらがこわいかな。多分「死んでいる人がこわい」というだろう。だけど実際は死んだ人はこわくもなんともないので、生きている人の方が何をするかわからないこわさがあるのだ。
 こういうのは手品師的な考え方である。死人のこわさはこわいと思う人の気持ちの中だけで、しかけがわからないためだ。こんなところに超能力とか、霊媒だとか幽霊写真なんかがつけこむのだ。こんなことは手品師には簡単にできることばかりなのだが……。
 手品の研究で世界的に有名な高木重明先生は、催眠術も使われる。催眠術は心とからだの協力が大切で、心から信用する人はかけやすいが、まったく否定している人にはなかなかかけにくい。このようなとき先生は奇術的催眠法を使う。しかけの催眠術でほんとうの催眠術に誘導してしまうという。
 手品師のしかけは、人の心も強くつかまえることができるのだ。友だちの輪にも手品をしかけてみよう。
いいぞいいぞ!超常現象をメッタ斬りにした後は、実に美しい終わり方だった。
なぞのしかけ人たち
 自然も手品師だ。
 地球上にも宇宙にも、わからないしかけばかりだ。UFO ってなんだろう。人間の目には鳥の飛んでいるのも、人工衛星の破片も、いん石も、時によってはみんな UFO にみえる。ブラックホールも存在はたしからしいが、タネしかけはすべてなぞである。
 地球の上で東へどんどんいくと、やがて元の位置にもどってくる。いいかえると東にいくのは西からくることになる。宇宙ではどうだろう。やっぱり丸いかな。それとも永久に帰ってこられないかな。
 宇宙もやっぱり手品師だ。
 コンピューターに使う頭脳、積層回路は 1 a立方に 7 万もの配線がくみこまれている。小さな角砂糖くらいの大きさに、いったいどうやってくみたてるのだろう。配線の長さや幅はどんなものさしではかるのだろう。学校で使っている顕微鏡なんかではみえないよ。
 科学者も手品師かな。
全く同感である。以前私は「科学技術者こそ真の超能力者だ。そこらへんの超能力者はせいぜいスプーンを折ったりぼやけた写真を念写したりする程度でしかないが、人類を月まで送る科学技術の素晴らしさを見よ!これほど凄まじい超能力はないではないか!」などと書いた。この本が書かれたのは 1987 年、PC はまだ 16 ビットの時代だった。それから 17 年経って、PC 64 ビットの時代へ。トランジスタの回路幅は 90130nm。記憶ディスクは FD 1.44MB からブルーレイ・ディスクの 50GB へ。50GB では漢字 250 億文字が記録できる。気の遠くなるような世界である。

このような締めくくり方をするというのは、児童向け書物としてまことにふさわしい。日本のマス・ミーディアも超常現象などいい加減にするべきである。上祐など、オウムへの興味が学研の超常現象雑誌『ムー』から始まった人もいたことを忘れてはならない。


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