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「真実の鏡」

私は「『真実の鏡』を持っているか?」と聞かれました。私には『真実の鏡』の意味が最初、わかりませんでした。私は聞き返しました。その意味は何かと。『真実の鏡』とは、「真の自分を見ることのできる鏡だ」と教えられました。私はその時「ない」としか答えることができませんでした。なぜなら本当に理解したわけでもなかったし、持っているかさえもわからなかったし、見つかるかもわからなかったのですから。しかし、いつしか私は『真実の鏡』を持っていました。私が『真実の鏡』の存在を忘れかけていた時にそれはあっけなく手に入りました。その鏡は心の中の私をよく表していました。恐ろしいくらいに表していました。そこにはいつも恐れていた自分がいました。今まで隠していた物がふつふつとわいてくる恐怖を見ながらも私はその『真実の鏡』を見ることを楽しみにさえしていました。「今日はどんな私を見せてくれるのだろう」と。その鏡は丈夫な物ではありませんでた。私はその鏡を大事に扱っていました。ちょっと慎重すぎる位に扱っていたのです。しかし、その鏡はいとも簡単に割れて粉々になって私を写してくれることもなくなりました。私は一生懸命になってその破片を元に戻そうとしました。それでも一回割れてしまった鏡を修復するのは無理でした。私はただその鏡を想い、切なくなりました。