=3歳幼児失踪=
この話は、僕が3歳のときの事だった、と親から伝え聞いた。
その日は、夏の暑い日で一日がいつものように過ぎていっていた。そのころ僕はまだ3歳だったし、おやは共働きだったのでいつも、おじいちゃんとおばあちゃんがお世話をしてくれていた。昼間で、おじいちゃんとおばあちゃん一緒に遊んでいたらしい。何一つ変わりなく母は仕事に行き、父もえのき作りに精を出していた。おじいちゃんとおばあちゃんは畑に行っていた。兄と姉は小学校に行き、曾おばあちゃんは何をしていたのかわからないけども、家にいなかったらしい。そんな何一つ変わりない平和な夕方の5時過ぎごろ、僕はまたまた事件を起こした。
母も父も仕事から帰ってき、兄も姉もみんな家族そろって夕食をとろうとしていた。しかし、いつも家の中でよいこ(本当だったかは知らないが)にしているはずの僕がいない事にみんなが気がついた。そこで母が家の中を捜し始めた、しかしどこを見てもいない、布団をしまってある押入れから、二階、とりあえず家の隅々まで探してみた。しかしいない。その時は別にあせる様子もなく父が庭を探し始め、おばあちゃんは畑を探しおじいちゃんは蔵や倉庫、蔵の裏にあるかボス畑も探した。しかし、どこにもいない。さすがにあせりだした家族は、近所の家に電話をした。電話をしまくった。それでも、どこの家にもいない。それで、近所というか地域の人たちは親から事情を聞き「耕ちゃんがいなくなったらしい」と言い出し、地域の人たち総出で僕を探し始めた。自体は次第に大きくなり、本当に松原地区(僕の住んでいるところ)を必死で探した。探しまくった。家の下にある川、山の中、発電所の空き地、それでも、見つからない。
「3歳幼児失踪」
こうなると、どうしようもない。母はもうパニックになる、父も自分ではその気持ちを隠しているのだと思っているかも知れたいがバレバレ、おばあちゃんはなきそうになり、おじいちゃんは妙に無口になる(もともと無口だが、それに輪をかけ)、近所のおばちゃんたち、おじちゃんたちもあせりにあせりまくった。
父のえのき工場は、一階が半分地下になっておりそこの下には大きなスペースがあって物置になっていた。そこのスペースのとこで、みんな集まってどうしようか話し合った。
父;「もう、誘拐されてしもうたかもしらん(しれない)。」
母;「そんなっことはない」
近所のおばちゃん;「もう一回探して見ようや。」
母;「身代金を要求されても家は払えんばい。(払えない)」
もう、みんな僕の命は終わった、僕はもう完全に誘拐された。と決め付けていた。もう、警察に電話するしかないと話していた。それで、いよいよ警察に電話するといって父が電話とこに行こうとしていた。それでも、やはり母はあきらめきれなかったのだろう、最後の望みをかけて叫んだ。
「耕ちゃぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!」
あたりは、静まり返っていた。何も反応がない。みんなが電話のとこに行こうとして振り返った瞬間。
「はぁーーーーい」
少し聞き取りにくかったが、何か聞こえた。もう一度、母は叫んでみた。
「耕ちゃぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!」
「はぁぁーーーい」
今度はちゃんと聞こえた。そして、僕の声の聞こえたほうをふり向いて見ると、なんと僕が走ってきているではないか。このとき母は、天使が走ってきてるように見えたらしい(ほんとか、おい!!)。
僕がどこにいたかというと、松原地区には父のえのき工場の横に一つ谷がある。そこには、鉄で出来た細い橋がかかっていて、その向こうは「くずも」と呼ばれ、梅ノ木がいっぱいある。そこで、ぼくはひとり、ゆうがたまえからあそんでいたらしい。なにぶん自分も3歳のころの事なので全然記憶にない。
なぜ、地域の人の総出でも僕を探し出せなかったか?それは、「くずも」というとこは谷を一つ越えて行かないといけないことになっている、そこを3歳のやっとこさ歩けるようになった耕ちゃんが一人でわたっていくわけないと大人の人たちは思い誰一人として、探しにいかなかったようだ。そこで、遊んでいた僕は泥まみれになって鼻水をたらしながら笑顔で走ってきたという。
そんなこんなで、「3歳幼児失踪事件」は幕を閉じた。
最後に一言; お母さん; 身代金を払えないって、僕が本当に誘拐されていたらどうしたの?
近所のおじちゃんおばちゃん; 僕を探してくれて有難うございました。 せっかくの夕飯時をぶち壊してしまってすいませんでした。